3連休中の11月23日(日)午前9時43分、東京・上野動物園に到着すると、入口の弁天門前から不忍池沿いに長蛇の列ができていて、入園まで15分間かかった。開園は通常9時30分だが、この日は混雑のため9時20分。入園するとすぐ、ジャイアントパンダ舎から続く行列の最後尾が目に入る。職員が持つプラカードには「待ち時間100分」と記されており、筆者が列に並び始めて15分後、「120分」に変わった。

 園内には4歳の双子パンダがいて、観覧するには、それぞれの列に並ぶ必要がある。筆者はまず、オスのシャオシャオ(暁暁)の観覧列に並んだ。列は蛇行しているので、並んでいる周りの人たちがよく見える。パンダのぬいぐるみを抱いて並んでいる子どもは、筆者の近くだけで3人いた。最近の日中関係悪化と「パンダがいなくなる?」という報道を受けてか、「もう最後かもしれないからね」という会話があちこちから聞こえた。

 列に並び始めてから102分後、観覧エリアに到着。シャオシャオは、屋外ですやすやとお昼寝していた。シャオシャオの観覧エリアは比較的広いので、観覧時間に制限はない。シャオシャオは、すぐ起きることもあれば、3時間ほど眠り続けることもある。このまま待つか迷ったが、20分で観覧エリアから出た。

 すぐにメスのレイレイ(蕾蕾)の観覧列に並ぶ。筆者が最後尾に着いた直後、待ち時間の目安を示すプラカードの表示が「100分」から「110分」に変わった。実際に並んだ時間は90分間で、午後1時30分に観覧エリアに到着。レイレイの観覧は、シャオシャオと異なり、1カ所につき約1分間の制限がある。筆者の観覧時、レイレイは屋外と屋内を行き来していた。

渡航日は「なるべく早く公表」

 双子パンダの体重は11月20日(木)時点で、シャオシャオが104.6kg、レイレイが95.1kg。最近はタケノコも食べている。タケノコはパンダの大好物で栄養もある。中国では1年を通じてパンダにタケノコを与えている。だが日本産は冬に入手できない。そのため上野動物園は「今年から、春に急速冷凍しておいたタケノコを解凍して、このところ少しずつ与えています。このストックは、もう少しでなくなります。いずれは、いつでも給餌できるようにすることが目標です」(同園の職員)。

 この双子は繁殖に向け、2026年2月20日を期限に中国へ行くことになっている。メスのパンダは、一般的に4歳前後で性成熟を迎えるとされる。レイレイは12月初旬時点で発情が確認されていない。姉のシャンシャン(香香)は、5歳だった2023年1月下旬(中国へ行く約1カ月前)に初めての発情が確認された。

 双子の渡航については、上野動物園を所管する東京都が中国野生動物保護協会(CWCA)と調整中。11月下旬に都の担当者に尋ねたところ、渡航日は決まっておらず、「決まり次第、なるべく早く公表する予定です」とのことだった。

 渡航前は30日以上の検疫が必要なので、遅くとも30日前には渡航日が発表される。検疫中、双子は隔離された屋内で過ごす。つまり、2026年2月20日の期限ぎりぎりに渡航するとしても、屋外で観覧できる期間は残り1カ月ほどだ。ちなみに上野動物園は基本的に月曜日が休園で、年末年始も休園となる(詳細は公式サイト参照)。

 レイレイのエリアは屋内・屋外ともに観覧者との間をガラスで隔てているが、シャオシャオの屋外エリアは違う。ガラス越しでなく観覧でき、音も聞こえる。筆者は、シャオシャオが鳴く声や、竹をバリバリ割って食べる音、扉をドンドンと叩く音などを聞いたことがある。

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