舞台、映画、ドラマと幅広く活躍する堤真一さん。「まだ何も知らない」という謙虚な姿勢で、挑戦と学びを重ねています。俳優という仕事の難しさ、若い世代から受ける刺激、そして「自分を認める」という新たな気づきについて語ってくれました。
「よくやってるな」と自分を認めてあげたい
――映画や舞台、ドラマなどさまざまな現場で活躍される一方で、このように取材を受けたり、バラエティ番組にも出演されたりしていますよね。どのように気持ちを切り替えていらっしゃいますか?
切り替えるって言うほどのことは何もしてないんです。でも役者以外の仕事は、どこか「よっこらしょ」という気分にはなりますね。
――「よっこらしょ」とは?
やっぱりバラエティ番組に出ると、「面白いことを言わなきゃいけないのかな」とプレッシャーを感じます。だから、芝居とはまた違った気合いの入り方になりますね。(明石家)さんまさんの番組などは、さんまさんが全部面白くしてくださるので、こちらが何かする必要はないんですけど、それでもさんまさんが楽しそうにしてくれたらいいなぁと思って余計な緊張をしてしまう。バラエティは出ていてとても楽しいし、勉強になるんですが、やっぱりいつまで経っても慣れません。
――長年第一線で活躍されていますが、やる気をキープするために意識していることはありますか?
うーん。普段から意識していることっていうのが本当にないんです。
――他のインタビューでは、「趣味がない」とおっしゃっていました。
そうそう、趣味もないんです。つまらない男でしょ(笑)?
――いえいえ、そんな風には見えません。では、仕事が嫌になることはないですか?
もちろん、ありますよ。俳優ってやっぱり奇妙な仕事なので、全くの他人を理解して演技しなければいけないから、その人物についてたくさん考えてしまう。気づけば頭がそれでいっぱいになってしまって眠れなくなることもあります。自分も含めてよくみんなこんな大変なことをやってるなぁ、と思います。
――心も体も使うお仕事ですよね。
そうなんですよ。なので他の人が出演している舞台を観ると感動します。
努力すればもっと良い演技ができるはずだと、つい考えてしまいがちなので、自分を褒めるというのは本当に難しいことなんですが、「よくやってるな」と認めてあげることも大切なんじゃないかと、最近は感じています。人生は長いし、これからも失敗したり、思い通りにいかなかったりすることはきっとたくさんあるでしょう。でも、だからこそ、自分をきちんと認めてあげられる環境を意識的につくっていかないといけないなと思っています。
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- 文=高田真莉絵
撮影=榎本麻美
ヘア&メイク=奥山信次(barrel)
スタイリスト=中川原寛(CaNN) - INTERVIEWEE
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堤 真一
