京阪電車の観月橋駅から、宇治川に架かる観月橋を渡って南詰めを西へ。ゆるやかにカーブする街道を歩けば、玄関先で無人で野菜を売っている家があったりして、いたってのどかな雰囲気。約10分で、青いテントのパン屋さん「イル チエロ」に到着します。
店内に入ると、木のテーブルの上に色々なパンが少しずつ並んでいます。
「すべて、自家採取の天然酵母100%のパン。手こねで、低温長時間発酵。石窯で焼いています」と、パン職人の大東(だいとう)澄江さん。
右:「カマンベールチーズ」360円。ハーフサイズは180円。
大東さんは、実家が食堂を経営していて、小さい頃から台所に立つのが大好きだったそう。OLをしていましたが、「食に携わりたい」とイタリアンの店で働いた後、西宮の「アルムリーノ」で天然酵母でのパン作りを学びます。
「自分で酵母を培養するようになって、発酵のおもしろさにはまってしまいました。目に見えない酵母の働きで生地がふくらみます。酵母の声を聞いて、作業を進めていく感じなんですよ」。
イベントやネットで手作りしたパンを12年余り販売していましたが、2009年4月に実店舗をオープン。現在、お店は、月曜・木曜・金曜・日曜の週4日営業。イタリア料理店で修業した経験を活かしてのランチは前日までの予約制。パン教室も行なっています。
右:特注の石窯。
パンを焼くのは、厨房の一角にある煉瓦のどっしりとした石窯。「石窯研究家の竹下晃朗さんに造っていただいた窯。この窯で焼くと、中はしっとり。割れがとてもきれいなんです」とにっこり。
2016.02.28(日)
文・撮影=そおだよおこ