京都・北野天満宮の大鳥居の横に、ポルトガルのお菓子屋さんができて話題になっています。さっそく訪ねてみると、元・造り酒屋の蔵の壁に、カタカナで「カステラ ド パウロ」の看板。店内に入ると、お菓子がずらりとケースに並び、愛らしいクロスがかかったテーブルのイートインスペースもあります。ポルトガルの音楽・ファドがBGMとして流れ、日本の蔵とは思えない異国の雰囲気。ガラス張りの奥の厨房では、ポルトガル人のパウロ・ドゥアルテさんがカステラを焼いています。

左:目をひく白壁の蔵。
右:絵皿や絵タイルが飾られ、異国のムードを感じる入り口。

 「ポルトガルのリスボン郊外に、1996年、お菓子工房をオープンしました」と、パウロさんの奥様でポルトガル菓子研究家でもある智子・ドゥアルテさん。

 京都生まれの智子さんは、小さい頃からお菓子が大好きだったのだそう。お菓子を学ぼうと目指したのはポルトガル。「21歳の時、長崎を旅して、ポルトガルに興味を持ちました。カステラやテンプラは、現地ではどうなっているのか、疑問に思ったんです」と智子さん。リスボン市内の菓子店で修業し、菓子職人のパウロ・ドゥアルテさんと出会って結婚。「ポルトガルの食、お菓子を伝えたい」と、各地の伝統菓子の店を訪ねて回り、本も出しました。

「ガラオン(コップ入りカフェラテ)」450円、「パステル デ ナタ(エッグタルト)」とのセット500円。

 「ふたりでお店を持ってからは、カステラをポルトガルに里帰りさせたいと思うようになって」。なんと、パウロさんは、長崎のカステラの老舗「松翁軒」で3カ月修業したのだそう。パウロさんが焼くカステラは、ポルトガルの人々に喜ばれ、お店はたいへん繁昌していました。

左:カステラを焼くパウロ・ドゥアルテさん。
右:2階に展示されている民俗衣装。

「今度は、日本の人々に、卵黄をたっぷり使った、素朴で温かみのあるポルトガルのお菓子を食べていただきたい」

 パウロさんと智子さんは、2015年4月7日、京都にポルトガルそのままのお店を開きました。「家具も食器もポルトガルから運んだんですよ」。2階には民俗衣装や絵タイル・アズレージョなども展示し、ポルトガルの文化も伝える素敵なお店です。

2015.07.12(日)
文・撮影=そおだよおこ