miwa、Salyu、尾崎世界観らがコーラスに参加
山口 伊坂幸太郎原作『陽気なギャングが地球を回す』の映画化に音楽プロデューサーとして企画段階から関わったのですが、その時にプロデューサーから、主題歌の理想形は『スワロウテイル』のパターンだと言われました。映画の公開前に楽曲をリリースして、既にヒットしているという状況が最高。そんな簡単にいけば苦労しないのですが(笑)。
伊藤 まぁ、理想形ってことですからね。でもまさに『スワロウテイル』のパターンは映画の主題歌としては最高の形ですよね。「Swallowtail Butterfly ～あいのうた～」のプロデュース・作曲は小林武史、作詞は小林武史、Charaと『スワロウテイル』の監督である岩井俊二のコーライティングでした。今回の「アイノネ」はプロデュース・作詞・作曲すべてを小林武史がつとめ、沢山の愛、多様な愛がこの世界にあればいいなという願いを込めた曲。またコーラスには大木伸夫(ACIDMAN)、尾崎世界観(クリープハイプ)、Salyu、清水依与吏(back number)、miwaといった今を時めくアーティストたちが参加しています。
山口 YEN TOWN BANDは、とても小林武史的な世界観を感じます。情緒的で郷愁があって繊細。歌を真ん中に置いた、とても丁寧な音作り。
伊藤 たしかにセンシティブですね。
山口 ミスチルやレミオロメンをヒットさせたサウンドプロデューサーであり、烏龍舎という音楽事務所の社長でもあり、環境問題に投資する非営利団体ap bankなどの社会的な活動もし、代々木VILLAGEという商業施設の企画も手掛けるなど、スーパーマン的な音楽プロデューサーですね。
伊藤 日本を代表するイケてる音楽プロデューサーですからね。
山口 小林さんは、実際にお会いするとシャイで素敵な方ですよ。代々木VILLAGEのMUSIC BARで時々お会いします。
伊藤 そうなんですね、こんど紹介してください(笑)。「アイノネ」との出会いなんですけど、車の運転中でした。ラジオから流れてきて、「あ、Charaだ！」と思って、だけど聴いたことない曲だったので新曲かなぁって。そして何よりもサビの「愛の音 愛の音 を探して 愛の音 愛の音 を集めた」と「愛の根 愛の根 を伝って 愛の根 愛の根 を延ばした」というところが印象的で、聴き終わった後もしばらく頭から離れなかった。ラジオで聴いたときは「アイノネ」ってカタカナの表記しかイメージしてなかったけど、歌詞カードみて、なるほどって思った。
同時に、このCREA WEBのコラム2周年記念で行ったトークイベントでゲストに来てくれたYun*chiが話してくれたことを思い出しました。Charaがプロデュースした「Jelly*」のレコーディングの時に、CharaがYun*chiに歌い方のディレクションとして、言葉に複数の意味を持たせるように歌ってほしいといったこと。まさにアイノネ、愛の音、愛の根ってことだよねって。
山口 興味深い話でしたね。ダブルミーニングとCharaのヴォーカルスタイルや声質は、相性が良いですね。楽曲に深みが生まれています。
2015.11.29(日)
文＝山口哲一、伊藤涼
