夢の若返りは幻じゃない。新しい皮膚を作り出す時代
小保方晴子さんが、「夢の若返りも目指していけるのではないかと考えています」とにこやかに語ったのは、まだ記憶に新しい。あれは要するに、幻となった万能細胞があれば、新しい皮膚を作り出すことも可能、という意味だったわけだが、STAP細胞とともに「夢の若返り」が本当にただの夢になってしまった、わけじゃない。なぜなら、新しい皮膚を作り出す方法は、他にもちゃんとあるからなのだ。
そもそも今、「夢の若返り」と言ったら、“肌を新たに作り出すこと”に尽きるわけで、これは言わば、今までのアンチエイジングの考え方とは、全く次元の異なる仕事。文字通り、アンチエイジングとは加齢と戦い、年齢に抗うことだが、結局のところ、時計を逆戻りさせることはできないという限界があって、だから化粧品がいくら進化しても、一度たるんでしまった肌のたるみをなかったことにするのは、やはり不可能と考えるしかなかったわけだ。
次世代の若返りスキンケアとは?
じつはそういう意味で、従来のアンチエイジングとははっきり訣別する、次世代の若返りスキンケアが早くも現れてしまった。まずはポーラの新生、B.A。つねにアンチエイジングを先頭で引っ張ってきたブランドだけれど、今回の進化では「これはもうアンチエイジングではない!」と明言したのだ。まさしく、新しい皮膚を作り出す絶対の鍵を見つけたからである。
それが、胎児の時に大量に生み出される、肌誕生因子のひとつ、バーシカンに働きかける発見。おそらく人の一生で、最も力強く最も素早く肌が作られている胎児期に、特に真皮の骨格を作っていくこの物質は、大人になると一気に減ってしまうが、怪我をするとまた急激に増えてくるというのだからわかりやすい。傷口がくっついて、カサブタができて……あの自然治癒力の主役となるものなのだ。
コラーゲンよりも先に生まれて、肌の土台を作るのだから、肌作りの知られざる鍵と言ってもよく、それを大人になった今、働きかけることで生み出すと言うのだからすごい。
2015.08.04(火)
文=齋藤 薫
撮影=吉澤康夫