古民家を撮影するコツ 結論
「建築写真は思いやりを目覚めさせる」
古民家の撮影で一番大事なことは、写真を見る人の存在を前提に、その人が安心して見られるようにする、思いやりの精神なのである。
どういうことかというと、例えば、あまりに水平垂直が取れていない場面が続く映画を観た時、気持ちが悪くなった経験がないだろうか。水平垂直がきちんと取れていないと見る人の心を不安にさせる。
建築物など地上にきちんと立っているものはきちんと縦のライン、横のラインを合わせて撮影すること、つまり水平垂直をきちんと合わせた写真は思いやり写真、優しさの表現方法であるといっても過言ではないだろう。
さあ、心が荒んでいる人は小値賀島の古民家に泊まって、古き良き日本と自分の中に眠っていた優しさを再発見してみてはいかがだろうか。多忙な毎日で心カサカサ、夏のエアコンでお肌カサカサの私も行こうかな……(笑)。
以上。次回は何のコツをお教えしようかと検討中。旅先の写真撮影でこんな時どうしたらいいの? など、取り上げてほしいテーマがあれば、CREA WEBの「掲載記事へのご意見・ご感想」フォームからご意見をお寄せください。
山口規子(やまぐち のりこ)
栃木県生まれ。東京工芸大学短期大学部写真技術科卒業後、文藝春秋写真部を経て独立。現在は女性ファッション誌や旅行誌を中心に活躍中。透明感のある独特な画面構成に定評がある。『イスタンブールの男』で第2回東京国際写真ビエンナーレ入選、『路上の芸人たち』で第16回日本雑誌写真記者会賞受賞。著書にひとつのホテルが出来上がるまでを記録したドキュメンタリー『メイキング・オブ・ザ・ペニンシュラ東京』(文藝春秋)、『奇跡のリゾート 星のや 竹富島』(河出書房新社)や東京お台場に等身大ガンダムが出来上がるまでを撮影した『Real-G 1/1scale GUNDAM Photographs』(集英社)などがある。また『ハワイアン・レイメイキング しあわせの花飾り』『家庭で作るサルデーニャ料理』『他郷阿部家の暮らしとレシピ』など料理や暮らしに関する撮影書籍は多数。旅好き。猫好き。チョコレート好き。公益社団法人日本写真家協会会員。
Column
山口規子のMy Favorite Place 旅写真の楽しみ方
山口規子さんは、世界中を旅しながら、ジャンルを横断した素敵な写真を撮り続けるフォトグラファー。風景、人物、料理……、地球上のさまざまな場所でこれまで撮影してきた作品をサンプルとして使いながら、CREA WEB読者に旅写真のノウハウを分かりやすくお伝えします!
2015.07.24(金)
文・撮影=山口規子