古民家を撮影するコツ その2
「水平垂直そろえて気持ち良く」

「一期庵」のリビングは掘り炬燵式になっており、腰かけると目線の高さが新鮮。縦のラインより横のラインが目立つときは迷わず横のラインから合わせよう。

 カメラ位置が決まったら、ファインダーを覗いてまずは「垂直(縦のライン)」を綺麗に合わせる。この時、自分の背が低くて見上げる形になってしまったら脚立や椅子を利用するとよい。

 しかし、コロコロ付きの不安定な椅子には注意! 撮影に夢中になっていると落下する可能性があるので自己責任で椅子を選ぶこと。「この椅子しかなかったから」とか「この椅子の構造が悪いから」とか言い訳せずに、自分の的確な判断力を駆使して撮影を楽しもう。

 背の高い人はかがんで垂直を合わせればよいから便利だ。背の低い私は「脚立要らずさん」(撮影時に脚立に乗る必要がない人のことを勝手に命名)にはいつも羨望の眼差しを向けてしまう。

「鮑集」の和室から眺める庭は格別。歳月を経て作られた美しさにうっとり! これだけたくさん縦のラインがあると構図が決めやすい。

 次に「水平(横のライン)」を合わせる。そう、ここで問題にぶち当たるのだ。持っているレンズの種類にもよるがレンズの収差(説明が長くなるからウィキペディアで調べてね)で水平が取れないことがある。こんな時は自宅に帰ってデジタル画像処理ソフトの助けを乞うしかない。

 また、垂直を綺麗に合わせたのに、水平のラインが画面上にたくさんあって構図が不安定な場合は潔く垂直のラインを捨てて水平だけを合わせる方法もある。例えば水平のラインが目立つ窓枠や天井に大きな梁が横たわっている場合などがそれである。あくまでも自分の判断で選んでほしい。そう、写真をやっていると判断力の訓練にもなるのだ。あ~、写真はいろんな意味で人生に役立つツールなのね~(遠い目。笑)。

2015.07.24(金)
文・撮影=山口規子