古民家を撮影するコツ その1
「物体のラインを見極めよう!」

「一会庵」の和室はオシャレな間接照明の光の効果でどこかモダンな雰囲気を醸し出している。畳の目のラインと障子や襖のラインの交差を楽しもう。

 世の中にはいろいろな形をした物体が数知れずたくさんあるが、形を構成するのが「線」、つまり「ライン」である。「線」というと力強さに欠ける印象があるので、私は英語の「ライン」と呼んでいる(船室のクラス分け同様、英語を使うとスタンダードもちょっと良い部屋に聞こえてくるから不思議だ)。

「一会庵」のリビングは自然光が綺麗に入り、キッチンも贅沢なほど広い。空間の縦と横のラインの中に椅子の背の斜めのラインが入ると画面に動きがでてくるから不思議だ。

 このラインを綺麗に活かしているのが建築である。新国立競技場のアーチ形の屋根の建設案では大荒れとなった世の中であるが、古民家も立派な瓦屋根や太くてしっかりした柱が美しいラインを作っているのだ。

 まず古民家に入ったらポイントとなる柱(縦のライン)を見つけよう。そして次に天井の高さや窓枠(横のライン)を見つけ、その古民家の特徴を一番引き出せる位置でカメラ位置を決める。

左:「親家」の階段。気持ちいいほど直角に曲がっている。いろんなラインを交差させて混ぜてみるのも面白い写真になる。
右:「一期庵」の小部屋には昔から使われてきた机もそのまま利用されている。窓枠の綺麗なラインを活かして撮る。

2015.07.24(金)
文・撮影=山口規子