Magnificent View #662
雁鴨池(韓国)

(C) Robert Harding Images / Masterfile / amanaimages

 韓国の古都、慶州にあるこの池はかつて、新羅の王侯貴族が舟遊びや宴を楽しんだ場所。池の中には大小3つの島が浮かび、絶妙の配置で植えられた草木が情緒を漂わせている。

 雁鴨池が入る庭園が造られたのは674年。多くの財産を費やして建設されたここは新羅王宮「月城」の東北に位置していたため、もともとは「月池宮」と呼ばれていた。

 935年の新羅滅亡により、華やかな宮殿は破壊され、庭園も荒廃の一途に。池は雁や鴨など水鳥たちの棲家となったことから、李氏朝鮮時代の詩家によって、「雁鴨池」と名付けられた。

 現在の雁鴨池は、原形に近い形で残されていた護岸石を土台に復旧したもので、池周辺にある建物も推測に基づいて建てられている。1970年代に行われた発掘調査で当初の姿がかなり明確にはなったものの、全容はまだまだ解明できていないのだという。

Column

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2015.07.24(金)
文=芹澤和美