Magnificent View #644
血の池地獄(大分県)

(C) Robert Harding Images / Masterfile / amanaimages

 日本屈指の温泉地として知られる大分県別府。色や泉質が奇妙な温泉を地獄に見立て、それらを見てまわる「地獄めぐり」は観光の定番だ。8カ所ある地獄のうち、一番歴史が長く、日本最古の温泉と言われているのが、ご覧の血の池地獄。

 赤く染まっているのは、酸化鉄や酸化マグネシウムを含んだ赤い熱泥が、地層から噴出し堆積しているため。深さは30メートル以上、湯温は約78度。発見された当時は「赤湯泉」、「赤池」などと呼ばれていたが、仏教が伝来すると、地獄と呼ばれるようになったのだそう。

 お湯がグラグラと煮えたぎる様子こそおどろおどろしいが、赤い熱泥が昔から皮膚病の薬として重宝されたり、軟膏として限定販売のお土産になったりするなど、地元にしっかり恩恵をもたらしている。源泉からそのまま引いた掛け流しの足湯もあり、訪れる人にとっても、ここはけっして地獄ではなさそうだ。

Column

今日の絶景

この広い地球上には、まだまだ知られざる素晴らしい景色がある。思わず息を飲んでしまう雄大な自然、ミステリーにあふれた驚きの奇観、そして、人間の文明が刻んだ偉大な足跡……。ここに、選りすぐりの絶景をお届けします。さあ、ヴァーチャルな世界旅行へと出かけよう!

2015.07.06(月)
文=芹澤和美