甘く苦い青春ラブストーリーが一転するどんでん返し!

左から木村文乃、松田翔太、前田敦子、堤幸彦監督。

 青春の甘く苦い思い出を描いたラブストーリーが最後の2行で一転する、驚愕のトリックが話題を呼び、150万部を売り上げた乾くるみのベストセラー小説を映画化した『イニシエーション・ラブ』。その完成披露試写会が2015年4月20日にTOHOシネマズ六本木ヒルズで行われた。

 試写に先立って記者会見が開かれ、松田翔太、前田敦子、木村文乃、そして堤幸彦監督が出席した。

 松田が演じたのは、地元の健気な恋人と、転勤先の都会的な女性との二股恋愛をしてしまう主人公の鈴木。舞台となる1980年代後半の肩パッド入りスーツではないものの、どことなく80年代を思わせる雰囲気の衣装で登場した松田は、「80年代だからこそという部分もあるけれど、鈴木は男性なら一度は思い当たる部分があると思う」と、2人の女性の間で揺れ動く姿に、案外共感した様子。「鈴木を誠実に演じていたら、おのずと二股になってしまった」と言いつつ、「僕はどちらの女性も好きです。僕は遠距離恋愛は無理かなとは思うけど、生活感のある子もいいですし」と、笑っていた。

左:恋に揺れ動く地方育ちの青年を演じて新境地を開拓した松田翔太。
右:前田敦子は、ビーチで水着姿を披露したり、キスシーンに挑んだりと体を張って熱演。

 遠距離恋愛に悩む恋人マユ役を演じた前田敦子は、「撮影前からこんなにワクワクしたのは初めてです。完成した作品は楽しくって、もう4回も観ちゃいました。細かい演出を探すのが楽しくて。公開したら劇場でも観ます」と、満面の笑顔を見せた。また時代背景については「前髪を重めにしてアイドルっぽくしようと思いました。80年代のアイドルがすごく好きでカラオケでも歌ったりする。その時に生まれていてもアイドルになりたかったです」と、思い入れを語った。

 お嬢様らしく、素直に恋心を鈴木にぶつける美弥子を演じた木村文乃は、「原作を偶然、10年前に読んでいたんです。すごく騙された小説の登場人物を、まさか自分が演じることになるなんて、本当に驚きました」と感激の面持ち。そして「堤監督のトリックで、騙し方が凄い。台本を読んだ時よりも、本当に面白かったです」と語った。

2015.05.20(水)
文=石津文子
撮影=山元茂樹