ランコムの新作コンパクトは“クッション系”
それもこれもインクが紙にしみこみ、気化し、色素だけが残るメカニズムを再現したから。従って化粧崩れもない、化粧膜が消える感じもない。まさに平然と24時間ロングラスティングを実現してしまうのだ。
従来のファンデとの決定的な違いを言うなら、表面を覆うポリマーなし。まるでとけこむようだからポリマーが必要ないのである。ただこれだけ言葉を尽くしても、実際に肌に塗った時の驚きと感動には遠く及ばないはず。ともかくここは試すしかない。
そしてランコムがこの春発表したクッションコンパクトは、“クッション系”という新しいジャンルを一大ブームにすることになるのだろう。このタイプ、BBクリームと同様、韓国で大ブレイクしたもの。スタンプを押す時に使う、インクがしみこんだスポンジを思い出してほしい。スポンジを押すとジュワッとインクが出てくるそのメカニズムから、“クッション系”とカテゴライズされたわけだが、これで適量をしみ出させる技やインクの質など難問がいろいろあって、正直今尚ピンからキリまであるが、さすがはランコム。いきなりほとんど完成形にも近い仕上がりを見せている。これも大きな意味でのインク系。今年絶対に注目の革命的ファンデは、第4のタイプとして永遠に生き残っても不思議じゃない。
齋藤薫 Kaoru Saito
女性誌編集者を経て美容ジャーナリスト/エッセイストに。女性誌において多数のエッセイ連載を持つほか、美容記事の企画、化粧品の開発・アドバイザーなど幅広く活躍。『人を幸せにする美人のつくり方』(講談社)、『大人になるほど愛される女は、こう生きる』(講談社)、『Theコンプレックス』(中央公論新社)、『なぜ、A型がいちばん美人なのか?』(マガジンハウス)など、著書多数。
Column
齋藤 薫 “風の時代”の美容学
美容記事の企画、化粧品の開発・アドバイザーなど幅広く活躍する、美容ジャーナリスト・齋藤薫が「今月注目する“アイテム”と“ブランド”」。
2015.02.02(月)
文=齋藤 薫
撮影=吉澤康夫