なぜもっと追求しないの? 美白の視覚効果
2015年もまた、一年の上半期は“美白トレンド”が話題の中心となってくる。正直、昨年は例の“白斑”問題が影響して、各社とも美白をアピールする声のトーンが心なしか低めではあった。
じつはその分、2015年の美白界は新作や新シリーズのデビューも多く、盛りあがりは見せているものの、一方に“美白はそもそもこのままでいいの?”という、声なき声がくすぶり続けているのは確か。
というのも、美白はメラニンのできるメカニズムのさまざまな段階、さまざまな場所に次々働きかけてはいるものの、どこまでやれば大丈夫なのか際限がなく、またここ4、5年はびっくりするような発見もなく、美白市場全体がどこか混沌としてきたところだった。
それよりも、もっと目に見える“白さ”が欲しい。“美白”なんだから、“美しい白さ”をもっと見たいという具体的なニーズがどんどん強くなっていたのは確か。
とすれば、美白が今すぐするべきは“視覚効果”の追求だったはずなのだ。つまり、いくら理論が素晴らしくても、他人から見て白く見えなければ意味がない。もうメラニンの話ばかりじゃなく、肌を白く見せるテクニックそのものをもっと進化させてほしいというのが、多くの女性たちの本音だったということなのだ。
実際“均一な肌色”をつくるクリニークのイーブンベターなどが、美白のワクを超え、世界的なビッグセールスを記録しているし、肌色をキレイにしたり、オーラをつくったりする美白が始まっていたのは確か。
そして今年いちばんにその声に応えてくれたのが、奇しくもコスメの2大ステイタスブランドと言っていいクレ・ド・ポー ボーテとシャネルだった。
しかも目のつけどころやテクニックがよく似ていて、そうそうコレコレ、こういう美白が欲しかったのと、思わずヒザを打つほどの“見える美白”待望の誕生となった。
2015.02.04(水)
文=齋藤 薫
撮影=吉澤康夫