シャネルが提案した“目に見える美白”の決定打
まず、クレ・ド・ポー ボーテはこう考えた。顔全体を引きで見て一体どこが明るいと顔全体が明るく白く見えるのか? また顔のパーツパーツを見つめ直し、それぞれのパーツを暗くくすませているのは何か? そういう視覚的な効果をまずクリアにして、その結果を美白製品に反映したのだ。
だから生まれたのが、美白アイケアと美白マスク。なぜなら、目もとまわりが明るくなると顔全体が明るく見えるから、まずは美白のアイケア。目もとが明るくなると色白に見えるのは、メイクで目もとにハイライトを入れることで体感済みのはず。そして顔の上半分と下半分で、暗みくすみの原因が違うから、上下セパレートのシートマスク……そういう発想。
もちろんそれぞれの暗みを取り払うためのアプローチは、独自の美白成分だけじゃない。ターンオーバーの乱れを正したり、血行を高めたり、タンパク質のにごりを取り払ったり、ケミカルピーリングまで、さまざまな働きをパーツによって巧みに組み合わせているのだ。特にTゾーンには収れんや消炎、顔の下半分では頰のきめや毛穴の目立ち、ざらつきを取り除く働きまで、じつにきめ細やかなアプローチ。
そしてセパレートのマスクを使うと、本当に顔全体が見事に明るく見えるが、これも暗みの原因を取り去る即効パーツマスクである証。何とかして白く見せようという本気が伝わってくる。
一方のシャネルは、美白チークマスクと美白下地を提案してくれたが、こちらも“白く見せる美白”の決定打。シャネルの場合は、まず肌色印象を決めるのが“頰の色”と考え、初めての“頰用シート”を開発したのだ。確かにこれ、その場で頰がパッと明るくなり、これぞ“目に見える美白”と目を見張るはず。そして下地では、その肌その肌をいちばん明るく白く見せてくれる、まったく新しい肌色補正カラーを独自に開発。さらに見た目に光を拡散するセラミックピグメントやパール成分で、つけたその場で、生まれつきの輝くような白肌をつくるのだ。
正直、こういうものを使うとそれだけで満足して、地道な美白をさぼってしまいそうになるが、そこはちゃんと内側からも美白が効いている。それが“目に見える美白”の正しい形。美白の未来が見えてきた。
齋藤薫 Kaoru Saito
女性誌編集者を経て美容ジャーナリスト/エッセイストに。女性誌において多数のエッセイ連載を持つほか、美容記事の企画、化粧品の開発・アドバイザーなど幅広く活躍。『人を幸せにする美人のつくり方』(講談社)、『大人になるほど愛される女は、こう生きる』(講談社)、『Theコンプレックス』(中央公論新社)、『なぜ、A型がいちばん美人なのか?』(マガジンハウス)など、著書多数。
Column
齋藤 薫 “風の時代”の美容学
美容記事の企画、化粧品の開発・アドバイザーなど幅広く活躍する、美容ジャーナリスト・齋藤薫が「今月注目する“アイテム”と“ブランド”」。
2015.02.04(水)
文=齋藤 薫
撮影=吉澤康夫