ファミレスでの会話とK先輩のその後

 数日後の夜、Iさんとその仲間たちは、夕方から行きつけの街道沿いのファミレスでワイワイと騒いでいました。

 用事を終えた者が次々と合流して盛り上がるいつものルーティーン。周囲の客や店員は迷惑そうにしていましたが、結局のところ直接注意してくる人はいつだっていません。その優越感が彼らをここに集まらせていたのです。

「お、Mのやつようやく来たんじゃね?」

 ボックス席のガラス窓から見える駐車場に、あご紐を首の横に垂らしたままヘルメットをかぶり、ダルダルのグレーのスウェット姿で原付を停めている後輩のMさんの姿が見えました。

 ピーンポーン。

 ファミレスの入店音と共に自分たちの席に近づいてくるMさん。

「おせーよ! オメー何してたんだよ、こんな時間まで」

「違うんすよ~。俺、さっきまでK先輩に捕まって山連れていかれててぇ~」

 席に座りながらヘラヘラと笑うMさん。

 Iさんはメニューを開く彼の視線に割り込むように聞きました。

「展望台か?」

「え、そうっす! よくわかりましたね! なんか、石みたいなの踏んだから代わりに謝ってこいって。よくわからないっすけど、小遣いくれるって言うんで!」

「……お前、石見つけて謝ったんか?」

「いや、見つからなかったってパチこいて戻りました! つーか、草むらも入ってないっす! 怒られますか、これ?」

「……M、今日は好きなの頼んでいいぞ。俺が奢ってやる」

「ええ!? マジっすか!!」

 数日後、Kさんが行方をくらませました。

 携帯にかけても繋がらず、職場も無断欠勤していたそうです。

 Iさんは「私を騙して浮気してどっか飛んだんだ!」と泣きじゃくるKさんの彼女をなだめ、彼女の持つ合鍵を使って家に入ってみたところ、机の上に残された1枚のスーパーのチラシを見つけました。

我昔所造諸悪業
皆由無始貪瞋痴
従身語意之所生
一切我今皆懺悔

 そこには“懺悔文”と呼ばれる、自分がこれまでに犯した罪を悔い改めるために唱えられるお経がびっしりと書き込まれていたそうです。

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