「喉もと過ぎれば更年期。一つ失うたびに笑ってみる。そんなに楽しいことばかりじゃないけどね(笑)」と語るのは、エッセイストの阿川佐和子さん(72)。
ここでは、著書『年とる力』(文春新書)を一部抜粋して紹介します。マンションの駐車場で優しそうなご婦人に声をかけられ、思わず号泣してしまったという阿川さん。その理由とは……?(前後篇の前篇
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これが噂の更年期障害?
40代の終わりから50代にかけて、誰にも訪れるのが更年期ゆえに生じるさまざまな不調です。しかしこれは人によって症状がまちまちで、重い人もいれば軽い人もいるようです。現に私がホットフラッシュに悩んでいたとき、母に電話で相談したところ、
「あら、大変ね。私、そんなにつらかった記憶がないのよ」
あっさり言われてがっかりしたのを覚えています。血のつながった親子でもこれほど差異があり、また結婚しているか未婚かとか、出産の経験があるかないかで軽い重いの差が出るものでもなさそうです。
私が最初に、
「ん? これが噂の更年期障害?」
と思ったのは、40代の終わり頃でした。仕事の待ち合わせ場所に遅刻しそうになり、冬だったのですが走ってようやくたどり着いたのはいいけれど、汗が止まらない。走ったせいだけとは思えないほどの汗が、首のうしろからとめどなく流れ落ちます。
「すみません、なんか暑くて」
タオルハンカチで汗を拭いながら相手の人と話をするうち、今度は急激に寒くなってきた。「暑いですか?」と私を気遣ってくださっていた方が、今度は「寒いですか?」とおたおたしていらっしゃる。どうも申し訳ないです。
そのとき、もしかしてこの汗のかき方は……?
ピンとひらめきました。
