Iさんの目に不意に飛び込んできたのは…
オメェが踏んだんだから、オメェが行かねぇと意味ねぇだろ! 祟りだかなんだか知らねぇけど、そんなわけわからん石碑にどう謝ればいいんだよ! そもそも俺は完全に無関係なのに。こんなことをして本当に祟りに巻き込まれでもしたら許さねぇからな、あのデブ! ――そんな風に心の中で毒づきながら、指示された草むらを分け入っていくと、確かに背の高い草が生い茂る、小さな丘のような場所が見えてきました。
「あれか? えーっと、下に石碑が……――」
足元を見ながらその石碑を探していたIさんの目に不意に飛び込んできたものは、話とはだいぶ違っていました。
それは、地蔵の首でした。
ニッコリと笑った地蔵の首が、盛り上がった土の一角から飛び出していたのです。
ふと、ひとつの疑念が浮かんできました。
「俺、今、騙されてるのか、これ……?」
◆◆◆
ジリジリと照りつける日差しと背中を伝う汗。
「おーい! 見つかったかぁー?」
草むらの向こうから叫ぶKさんの声。
Iさんは覚悟を決めて車に戻りました。
「見つかったか?」
「それが、何度も探したんすけど見つからなくて」
「は? 真面目に探したんか?」
「探しましたよ。でも、見つかんなかったんで、先輩が言っていた丘みたいなところの手前にお供えして『南無妙法蓮華経』って唱えてきました」
「なんみょ……?」
「念仏ですよ」
「ああ、そっか……まあ、いいのかな、それで」
「きっと大丈夫っすよ」
