生配信サービス「TwitCasting」発の「禍話(まがばなし)」は、語り手である北九州の書店員・かぁなっきさんが蒐集した実話怪談を語り聞かせる大人気ネット怪談番組です。日常の和やかな雑談から突如として繰り出されるおぞましい怪談が支持され、2016年の開始から今年で10年の節目を迎えています。
今回はそんな老舗の実話怪談チャンネルの中から、“奇妙な人形”がもたらした恐ろしいお話をご紹介します――。
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相場の半額でも入居者が決まらないアパート
平成中期ごろ、関西地方の都市に住む大学生だったFさんは、ある日サークルの部室で友人からこんな話を聞きました。
「あの激安アパート、ついに借りた奴が出たらしいな!」
Fさんが通っている大学から駅に向かう道中の脇道にそのアパートはありました。
裏手にある里山の影になっている影響で日中はあまり日が差さず、側を通る学生たちからは「薄気味悪い」と長らく評されていた2階建ての学生向け安アパート。
家賃が安く大学まで近いのであれば、比較的入居者が入りそうなものですが、相場の半額という破格の安さと、正直言って築何十年も経っているようなボロボロの見た目と相まって、皆“何かしら不気味な裏がある”と疑っていたのでした。
しかし、ついにそこに住む猛者が現れたというのです。しかも、それは――。
「うちの大学、しかもこのサークルの新入生だって」
サークル内でこの噂はすぐに駆け巡りました。
一体どんな人物があのボロアパートに住むことにしたのか。Fさんが参加したサークルの新歓飲み会でもすぐにこの話題で盛り上がり、ついにその正体が判明しました。
「じゃあOくんがあそこ住んだ奴ってこと!?」
集まった皆の目線に少し恥ずかしそうな顔をしながらウーロン茶をすすったのは、Fさんの後輩である男性Oさんでした。あまり前に出るタイプではなく、そのマイペースな性格が妙にFさんの記憶に残っていたそうです。
「あそこ防犯的に大丈夫なの?」
「いや、鍵は普通についてますし、別に普通ですよ」
「そんなもんかねぇ」
どんなやばい話が出るのかと期待していた一同でしたが、Oさんがマイペースで場の空気に流されない性格だったこともあって、望んでいたようなエピソードはあまり返ってきませんでした。
