地中海随一のリゾート地アンタルヤで逆取材?
楽しかった薔薇取材を終え、もう少し足を延ばしてみることに。ウスパルタの町から南へバスで約2時間30分、アンタルヤというビーチリゾートだ。日本ではあまり名前が知られていないが、アンタルヤの空港出入国者数はニューヨーク、パリに次いで多いのだという。5ツ星以上のホテルが1000軒以上も軒を連ねる。
ちょうど私が訪れた日、海開きのようなセレモニーがあるから参加しないかと誘われたので、おもしろそうだから見物に行ってみることにした。このビーチに備え付けられた「Antalya」と書かれた白いパラソルとビーチチェアが、すべて無料で開放されることになったのだという。「富める人もそうでない人も平等にビーチを楽しむことができる!」と演説を始めたのは、メンデレス・トゥレル市長。すると、「インタビューはすべて断ったのだけど、アナタのインタビューだけは受けると言っている」と。どうやら、日本から来たジャーナリストということで優先されたらしい。
右:「私はアンタルヤが好きだー!」と叫ぶメンデレス・トゥレル市長。地元メディアが取り囲む中、なぜか最前列をいただいたので、迫力ありすぎ。
演説が終わると、ピークシーズンの激混みビーチへと歩き出す市長。あっという間に取材カメラに囲まれ、その周りを一般市民が取り囲み、もの凄い人垣が! 日差しの強さもあり、早々に輪の外に逃げていると、「もうすぐアナタの番だから」と呼ばれた。「あれれ、インタビューは別の時間に、と聞いていたけれど?」と思いつつ、その人垣の中に押し出され、市長の前に!「日本から来たのだけど、このビーチは素晴らしいですね」と、二言三言で終了。人垣は移動して行った(笑)。
右:人垣の外から見るとこんな感じに。それでも市長は普通に歩いていて、決して押し倒されることはない。
すると、市長付きのジャーナリストという方達が私のもとへ。ピンマイクを付けられビデオに向かってインタビューされることに。写真もバシバシ撮られている。結局、市長へのインタビューはうやむやに。インタビューするはずが、逆にインタビューされ、翌日の新聞やテレビに出てしまった。人垣が移動しつつも、何となく段取りがあり、取材が進行していくという、日本ではあり得ない貴重な取材を経験させていただいたのだった。
右:帰りのアンタルヤ空港で、ハルミチーズサラダを。ハルミチーズは地中海で人気の山羊などの混合乳を使ったセミハードタイプのチーズ。弾力があって焼いて食べるのが一般的。淡泊ながら強めの塩味がサラダにぴったりだ。
Column
トラベルライターの旅のデジカメ虫干しノート
大都会から秘境まで、世界中を旅してきた女性トラベルライターたちが、デジカメのメモリーの奥に眠らせたまま未公開だった小ネタをお蔵出し。地球は驚きと笑いに満ちている!
2014.07.29(火)
文・撮影=たかせ藍沙