薔薇農家の朝ご飯と「Rose Love」の認定証
翌朝もまた朝から薔薇農園へ。ギュネイケントの村では、車で走っていると道の両脇にたくさんの薔薇農園があるので、ロケーションのいい畑で写真撮影の交渉をした。その後、この日は薔薇農園取材後に、農家で朝ご飯をご馳走になることに。お宅に到着すると、ちょうど外で、お母さんのファデンさんが焼くトルコの薄焼きパン「ギョズレメ」ができあがったところだった。中にはいると、キッチンの一角にビュッフェスタイルでお料理が並んでいた。しかも、薔薇の花で飾られているではないか!
右:自家製の薔薇の花びら砂糖漬け。チャイ(紅茶)との相性は抜群だ。
キュウリとトマトのサラダ、焼きナス、トマト入りスクランブルエッグ、ゆで卵、オリーブ、はちみつ、自家製の薔薇ジャム、自家製パンなどなど。料理に使われている卵は、隣接する鶏小屋から取ってきたばかり。美味しくないわけがない。食後には薔薇の花びらの砂糖漬けも。飾られた薔薇が香り、窓の外には薔薇農園が広がっているという、なんとも香しい朝ご飯だった。
車に戻ると、この日のコーディネートをしてくれたアブダラさんが、車内を薔薇で飾ってくれていた。どんな芳香剤よりもぜいたくで、うっとりするような甘い香り! そんな薔薇の車に乗って、今度は薔薇コスメメーカーへ。
右:ローゼンスの経営責任者のイブラヒムさんに工場内を案内していただいた。手にしているのは日本未発売のローズシロップ。水や牛乳に入れて飲むのだとか。
「ローゼンス(Rosense)」は、ギュルビルリッキ社の薔薇コスメ。1954年創業の、世界最大のローズオイルメーカーが、2003年に立ち上げたコスメブランドだ。今では、トルコの主要コスメとなっている。ギュルビルリッキ社は、約8000軒の農家と契約していて、年間7500トンもの花びらから、ローズオイル、ローズウォーター、そして薔薇コスメを作っている。蒸留所と工場を見学させていただいた。ここから世界各地へと薔薇製品が輸出されていくのだ。
右:ギュネイケントの町長ファーレッティン・ギョズギュンさんから直接「Rose Love」の認定証をいただくといううれしい驚き!
その後、自家農園の薔薇を自分で蒸留しているという、ドゥルムスさんの蒸留所を見学。前日のイスマイルさんの蒸留所と同じ仕組みだった。座ってローズウォーターが出てくる様子を眺めていると、食事のお誘いが。せっかくなのでご馳走になることに。すると、奥さまらしき方がやってきて、蒸留器の下の火中に、大きなナスを3本放り込んだ。蒸留器が、ローズウォーター作りだけでなく、夕食作りにまで役立っているとは! そして、夕食後には小さなお嬢さんが、ひとりひとりの手にローズウォーターをかけてくれた。手で食事した後にローズウォーターでリフレッシュ。薔薇が日常に欠かせないものだということを体感させていただいた。
そんな取材を続けていたら、うれしい驚きが。町の薔薇産業に貢献したことを意味する「Rose Love」という認定証を、ギュネイケントの町長さん自らが届けてくださったのだ!「あなたのことはいつでも大歓迎だから、来年もぜひ」と言われて、すっかり再訪する気になってしまった!
ローゼンスジャパン
URL http://www.rosense.co.jp/
2014.07.29(火)
文・撮影=たかせ藍沙