「お子さんには母親が必要です」子宮全摘出を決意したワケ
――変な言い方ですけど、赤ちゃんもがんも育てている自分の体に、どんなことを思いましたか。
橋本 もっとちゃんと判断しろよ、自分の体、みたいな。これががん細胞かどうかわかるやろ、とは思いましたね(笑)。
私はずっと、子宮を残すためなら自分の死期が早まったとてしかたないくらいの勢いでいたんですけど、主治医の先生から、「お子さんには母親が必要です」とキッパリ言われて。
――親としての役目を考えさせられたというか。
橋本 ちょっとハッとしたというか。それまでは極論を言えば、子どもを産んである程度まで育ったら、私なしでもいいかな、と思ってたんです。
でも、子どもが健康に生きていくために、私自身が健康に生きる道を選ばないといけないんだと気づかされて、子宮摘出への踏ん切りがつきました。
「かわいい~」「じゃあ全身麻酔に切り替えますね」出産と同時の子宮摘出手術
――子宮の摘出手術は、出産と同時に行ったんですか。
橋本 そうです。赤ちゃんの顔を見たいという希望は出していたので、最初、下半身麻酔で帝王切開して赤ちゃんを産んで、赤ちゃんを見たらすぐ全身麻酔に切り替えます、と。
――出産と手術の当日を、どういう気持ちで迎えましたか。
橋本 子宮がなくなるショックもずっと頭にはあるんですけど、当日はとにかくこの子を迎え入れて母になるんだという気持ちの方が前に出ていましたし、もう肝を据えるしかない、という気持ちでしたね。
――赤ちゃんと初対面した時はいかがでしたか。
橋本 とにかく泣きながら全身麻酔に切り替わった、みたいな(笑)。
――余韻ゼロで。
橋本 ですね。「ああ、かわいい~」「はい、よかったです。じゃあ全身麻酔に切り替えますね」「えーん(涙)」という流れです(笑)。
