山内菜緒子さんが担当したイチオシ作品は?

◆『やがて、ひとつの音になれ』草原うみ/小学館

 「天才少年」だった奏は、ジストニアという難治性の病により15歳でピアノと別離する。そして彼の中には消えない悲しみだけが残った。――7年後。有名なピアニストに成長したかつての友との再会から、奏は手放した“大切な音”ともう一度出会う……。音楽を愛する彼らの青春物語。

「高校生時に発症した難治性の病によって片手が使えなくなり、ピアニストへの道を断念した主人公。彼が時を経て当時のライバルと再会することで、新しい音楽と出会い直す物語です。ひとは大切なものを諦めなくていい、何度でも好きになっていいんだ、ということを教えてくれます。9月に全3巻で完結しました。きっと勇気をもらえるはずなので、ぜひお読みください」

人生で思わず夜ふかしして読んでしまったマンガは?

◆『Sunny』松本大洋/小学館

「親と離れて生きなければならない子ども達が一処で暮らす日々。大人からたくさんの傷を受けながらも彼らはふてぶてしく生きていて、その生命力に泣きました。この子達の人生に幸が訪れることを願いながら読み進めるうちに窓の外に現れた朝の明るさが忘れられません」

山内菜緒子さんの「マンガを読むときのマイルール」

「仕事から切り離された空間で味わいたいので、少し明かりが暗い喫茶店に行きます。漫画にひたる独りの時間は至福です」

山内菜緒子さん/小学館「ビッコミ」編集長

小学館の青年漫画サイト「ビッコミ」編集長。現在の担当作は『植物病理学は明日の君を願う』『南緯六〇度線の約束』『サイドキック -吉祥寺警察署生活安全課-』。過去担当作は『重版出来!』『おやすみカラスまた来てね。』など多数。

CREA夜ふかしマンガ大賞とは…

マンガを愛する選考委員とCREA編集部の推薦により選ばれた「思わず夜ふかしして読みたくなる」そして、「いま、CREA読者に本当におすすめしたい」作品に贈る賞。今年は初めて、15名のマンガ編集者の皆さんに選考委員をお願いしました。2024年7月~25年8月に単行本の新刊が発売された(ただし、合計5巻以内)、もしくは、雑誌などに最新話が発表された作品から選出されます(※選考委員の担当作は推薦不可、現在所属する出版社が発行する媒体の掲載作品は1作まで推薦可)。その他、マンガ好きの著名人の方々が選ぶ「個人賞」もあります。

Column

「CREA夜ふかしマンガ大賞2025」選考委員アンケート