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ABCテレビは「“座組み番組”が少ない」

――ちょっと尖った企画であっても、それを受け止めてくれる環境があるんですね。

 キー局に比べて大所帯ではないので、人間関係がわりとコンパクトなんです。だから自分のアイデアや持ち味のようなものを知ってもらいやすいんですよね。「児玉はこういうの好きやもんな」「また変なことやろうとしてんなぁ」って、周りがわかってくれているのはすごくありがたいです。編成部長から直接「なんや、あの企画書」と言われたり(笑)。これは在阪局の規模感ならではの良さやと思います。

――在阪局ならではというお話が出たので関東の人間としてお聞きしたいのですが、働いていて感じる、ABCテレビならではの持ち味はどんなところでしょう?

 ABCテレビって、キャスティングや企画先行の“座組番組”が少ないんです。『探偵!ナイトスクープ』にしても『新婚さんいらっしゃい!』にしても、それこそ『アナザーストーリー』や『熱闘甲子園』も『ポツンと一軒家』も、人物に光を当てて、その人がどういう行動を起こしてどんな感情を得たのかを描くところが共通しているんですよね。その主人公が一般の方の場合もあるし芸人やアスリートの場合もあるし、それをバラエティで描くこともあればドキュメンタリーで描くこともある、という感じで。

 そういうふうに、人の心情や人間の面白さを表現してきた先輩方が多いんやと思います。それは強みなのかな、と。だから『新しいカギ』(フジテレビ)みたいな番組は多分うちからは生まれへんな、と思ってます(笑)。

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児玉裕佳

朝日放送テレビ コンテンツプロデュース局制作部 ディレクター・プロデューサー。関西学院大学社会学部卒業。2016年朝日放送テレビ入社。テレビ営業外勤を経て、現在は『やすとものいたって真剣です』『ABCお笑いグランプリ』『M-1グランプリ』など担当。『イケメン乙』『つまずく夜は』『石井ダンサーズのパーフェクトワールド』『濱田祐太郎のブラリモウドク』企画演出。

濱田祐太郎のブラリモウドク(朝日放送)

2025年9月14日(日)よる11時30分~放送

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Column

テレビマンって呼ばないで

配信プラットフォームが活況を呈し、テレビの観られ方が大幅に変わりつつある今、番組のつくり方にもこれまでとは違う潮流が勃興しています。その変化の中で女性ディレクター/プロデューサーは、どのような矜持を持って自分が面白いと思うものを生み出しているのか。その仕事論やテレビ愛を聞く連載です。

2025.09.14(日)
文=斎藤 岬