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男性にスキンケアを提案する際の効果的な言い方は?

――とはいえ最初におっしゃった通り、自分からスキンケアに積極的に手を伸ばす男性はまだ少ないです。女性からパートナーにスキンケアを提案するとき、どんな言い方だと効果があると思いますか?

高殿 「私にケアしてほしかったら自分のケアをできるようにしてほしい」と言うのはもちろん大事だと思います。それ以外には、夫婦で資産運用をしている人だったら、たとえば「大谷翔平を起用したことで、コーセーの株がこの1年で◯倍になった」みたいな言い方も効果がありそうですよね。「男性化粧品がこれだけ伸びていて、マーケットとしても期待されている」と数値化されたものを出すと多くの男性は興味を持つはず。やっぱり実利に結びつけるのがいちばんわかりやすいと思います。

 あるいは、今の若い子はほとんどスキンケアをしているので「これから職場に入ってくる部下たちはみんなしていることを、あなたはやらないのか」って男のプライドに刺さるような提案もアリかもしれないですね。

――「みんなやってます」の「みんな」が、本当に「みんな」なんだと示すのは有効そうですよね。

高殿 日本はやっぱり横並び意識が強いですからね。それと、私のとっておきが一個あって。もしかしたらこれがいちばん刺さるかも。

――なんでしょう?

高殿 ご夫婦で住宅ローンを組んでいる方もいらっしゃいますよね。住宅ローンの団信には、医療保険がついているじゃないですか。あれね、皮膚がんは対象じゃないんです。皮膚がんになっても、あなたの家はあなたのものにならない。

――おぉ。

高殿 これだけ紫外線が強くなっている中で、日焼け止めもしないまま外歩いていたら皮膚がんになるぞ! って。がんになったらキャリアどころじゃないですよね。だから「あなたの命を守るために、日焼け止めだけは塗ってほしい」から入るのはいい気がします。日焼け止めを塗ったら落とすために洗顔フォームを使わざるを得ないし、そうするとなんとなく「化粧水も塗るか」となっていくと思うんですよね。「命を守ってください」という方向で推していくのは結構いいんじゃないでしょうか。

父と息子のスキンケア

定価 1,210円(税込)
早川書房
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2025.08.28(木)
文=斎藤 岬
漫画=いまがわ