この記事の連載
『父と息子のスキンケア』著者・高殿円インタビュー【前篇】
『父と息子のスキンケア』著者・高殿円インタビュー【後篇】
スキンケアについての本を、あえて新書で出すワケ
――今回スキンケアという題材を新書で扱ったことにも狙いはあるんですか?
高殿 新書というジャンルは、まだまだ男性読者のほうが多いと言われているんですが、最近、三宅香帆さんの新書『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』が「新書大賞」や「書店員が選ぶノンフィクション大賞」を受賞しましたよね。新書を通じて女性の書き手が書いたものが男性に広く読まれるのを目の当たりにして、新書のマーケットにいるおじさんたちにアプローチしてみたいという狙いはありました。
それに、女性がもっと新書を読むようになればマーケットは大きくなるわけだから、女性の関心も強いスキンケアについての新書を出すことは、新書のマーケットとしても悪いことではないですよね。

――刊行後、どういった方が本書を手に取っているように思いますか?
高殿 やっぱりいちばん初めの反響は圧倒的に女性からです。「夫に読ませたい」と。多分、奥さんが買って読んでそれが旦那さんにわたっていくんでしょうね。予想はしていたけれど、そのルートで男性に到達するしかないというのはひとつの絶望ではあります。自主的には手に取れないところに日本の男性の弱さと同時に、これまで押し付けられてきたプレッシャーの強さみたいなものをすごく感じますね。
ただ、すぐには浸透しなくてもここから追いついてくる人たちはいるはず。今の日本では男性の化粧水使用率は2割というデータがありますが、5年後には3~4割ぐらいまで増えると考えてます。確実に波は来ているから、そこに向けてサーフボードで果敢に出ていったような気持ちでいます。

父と息子のスキンケア
定価 1,210円(税込)
早川書房
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2025.08.28(木)
文=斎藤 岬
漫画=いまがわ