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高田馬場スイーツ #1
高田馬場スイーツ #2
高田馬場スイーツ #3
高田馬場スイーツ #4

早稲田大学のお膝元としてにぎわう学生街・高田馬場。駅を出ると“ガチ中華”と呼ばれる本格中華料理店が軒を連ね、ミニ中華街を思わせる様相に。
留学生の多い早稲田大学をはじめ、日本語学校や留学生向けの寮があるなど、高田馬場はもともと中国人や台湾人が多いエリア。ガチ中華のお店がぐっと増えたのはコロナ禍以降で、国に帰れなかった中国人留学生たち向けに故郷の味を提供する店が増えた、というのが定説です。
中でも注目したいのは、中国・台湾の本場の味を再現したガチ中華スイーツ! 中国や台湾からの留学生はもちろん、日本人にも大人気の専門店やカフェをご紹介します。
第1弾は、中国各地のおやつとお茶が楽しめる「甘露」へ。駅から少し離れた住宅街の中に位置しますが、季節ごとの味を目指して訪れるリピーターも多いという中国スイーツの名店です。こちらは中国に造詣の深い日本人夫妻と、当時留学生だった中国人とがタッグを組んで店を立ち上げたそう。
看板メニューは広東式ミルクプリン「双皮奶」

まず食べておきたい一皿は、広東や香港など、中国の南の都市の定番スイーツ「双皮奶(シュアンピーナイ)」。材料はとてもシンプルで、牛乳、卵白、砂糖だけ。膜がはるまで温めた牛乳に卵白と砂糖を混ぜて蒸し上げたもので、しっとりとしたミルクの膜とやわらかなプリンの食感が楽しめます。。

「甘露」ではアツアツの蒸し立てをいただくホットと、暑い季節にぴったりの冷たい状態が選べます。プレーンのほか6種のトッピングも楽しめ、季節限定の味にも注目を。8~9月限定の「芒果双皮奶(マンゴーシュアンピーナイ)」は、マンゴーのトロピカルな甘さとミルクの香りがぴったり。

「暑くて湿度の高い広東では医食同源の考えが根付いていて、暑い時期は熱を冷ます緑豆や旬のフルーツを食べるなど、季節や体調に合わせて食を選ぶ文化があります。『甘露』でも、春は桜、初夏はバラ、夏はミントに秋は栗など季節ごとのフレーバードプリンを作っています」と話す「甘露」の向井直也さん。

通年メニューで人気が高い「桃膠丸子双皮奶」は、双皮奶に桃膠(たおじゃお)と呼ばれる桃の木の樹液(樹脂)と白玉をトッピングしたメニュー。日本ではあまりお目にかからない桃の樹液はぷるりとした、ごく柔らかなゼリーのような食感。

琥珀色の清涼感のある見た目も素敵です。ほかにも、小豆や蓮の実のトッピングや、クレームブリュレ風にアレンジした双皮奶などが揃います。
2025.08.09(土)
文=嶺月香里
写真=鈴木七絵