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 話題作への出演が続き、まさに飛ぶ鳥を落とす勢いの俳優・小芝風花さん。子役時代から着実にキャリアを積み重ね、今ではドラマに映画、舞台と多彩なフィールドで輝きを放ち続けています。 そして今年はNHK『べらぼう ~蔦重栄華乃夢噺~』に出演、江戸の光と影を繊細に表現する芝居で視聴者を圧倒しました。

 そんな小芝さんの最新出演作が、Prime Videoにて配信中の日本オリジナル版の『私の夫と結婚して』。2024年に韓国でドラマ化されるやいなや、一大センセーショナルとなった本作を日本オリジナル版として実写化。この作品の見どころはもちろん、撮影中の裏話や作品への想いなどを伺いました!


韓国と日本との違いを探りながら最良の演技を自問自答した日々

――『私の夫と結婚して』は韓国のウェブ小説やドラマ、マンガで話題になった作品です。この作品に出演することになったときのお気持ちを聞かせてください。

 作品への出演が決まってからドラマを拝見しました。韓国ドラマならではの女性同士の戦いが激しくて、面白かったです。日本オリジナル版の台本は、その韓国版の良さもありつつ、日本ならではの感覚を活かした台本になっていると思います。

 女性同士の戦いも、髪の毛を引っ張り合ったりとかはなくて(笑)。ただ、どの作品に対してもそうですが、マンガ原作やリメイク作品の場合は、原作のファンの方がいらっしゃるので、その方たちにも楽しんでいただけるようにしたいというプレッシャーは大きいです。

 人気の作品であればあるほど、「実写化は見たくない」とおっしゃる方もいらっしゃいますし……。逆に、「どんな違いがあるのかを見たい」と楽しみにしてくださっている方も多く、今回も少しドキドキしながら作品に参加させていただきました。

――今回の作品で、小芝さんが演じられる神戸美紗という役は前半と後半とで大きく人生が変わります。演じ分けも大変だったのでは?

 そうですね。後半で急激に強くなりすぎると、じゃあ前半はどうして弱かったのってなってしまうので、その塩梅というかバランスがすごく難しくて……。しかも、今回実は撮影した順番がかなり行ったり来たりしたんです(笑)。ストーリーの展開とはまったく異なる順番で撮ったので、性格などを組み立てていくのが大変でした。

 今回ご一緒したアン・ギルホ監督にも「このセリフは強すぎないですか?」とか、どのくらい分かりやすく棘のある言葉遣いにするのかなど、その辺りはすごく相談させていただきました。

――現場で、苦労された点などはありましたか?

 大変だったのはやはり言葉の壁でした。もう少し韓国語が理解できたら、もっと監督の求めているものを出せたかもと……。それはすごく悔しく思ったポイントです。

 もうひとつ、私は今までヴィジュアルを求められる役柄というのがあまりなかったんです。でも監督に「ちょっと顔の筋肉に力が入っている。普段のほうがキレイだから、もう一回撮影させて」と言われることがあり、それはすごく新鮮でした。韓国チームは常に俳優、女優さんがキレイにカッコよく映るかというのを探ってくださる。

 そういったことに慣れてなく、意識もしてこなかったので、それはしっかりと現場で学ばせていただきました。

――先ほど、韓国ドラマと日本ドラマでは少し塩梅が違うとおっしゃっていましたが、そういった指示も監督からありましたか?

 脚本の段階から韓国ドラマよりも少しマイルドな感じには調整されていたので、それは監督もご理解されていたと思います。ただ、浮気の現場を目の当たりにしたときに騒がないのは日本人ぐらいなんだそうです(笑)。私のシーンではなかったのですが、そんな話が出ました。

 日本人って、呆然としちゃうというか、ちょっと引いちゃいますよね。でも他の方のお芝居のときに「もっと強く言ってくれ!」と指示をされていて、そういう感情の差みたいなものがあるんだなというのは感じました。

2025.07.19(土)
文=前田美保
撮影=榎本麻美
ヘアメイク=青山佑綺子(BOND)
スタイリスト=小川未久