2016年に発足した経済改革構想「サウジ・ヴィジョン2030」の実現に向けて、変化の真っ只中にある国がサウジアラビアです。観光や文化・芸術の振興にも力を入れ、2018年には、サウジアラビア国内ではおよそ35年ぶりとなる映画館がリヤドにオープン。2019年には「紅海国際映画祭」が発足。2021年からサウジアラビア第二の都市であるジッダで毎年開催されています。

 この映画祭を主催するのは、サウジアラビアやアラブ諸国、アジア、アフリカの映画部門を育成していく非営利団体、紅海フィルム財団です。映画の素晴らしさを讃え、世界に門戸を開く国際的なサウジアラビアのプラットフォームとして財団は設立されました。

広々とした会場で、映画三昧の10日間

 2024年12月には第4回目となる「紅海国際映画祭」が、延べ10日間にわたって開催。“The New Home of Film,”をテーマに、出品作品の上映や、監督や俳優によるトークイベントのほか、ワークショップや商談の場も設けられ、世界中から来場した映画関係者やプレス関係者で賑わいました。

 映画はアラブを中心とするアジア各国をはじめ、81ヶ国から120本が出品。日本に縁のある作品としては、マーク・ギル監督が伝説の写真家、深瀬昌久の人生を描いた浅野忠信主演の「レイブンズ」が上映されました。

スパイク・リー監督もトークイベントに登場

 イン-カンバセーションと呼ばれるトークイベントでは、インド映画『きっと、うまくいく』に主演したアーミル・カーンや、スパイク・リー監督、マイケル・マン監督、ベネディクト・カンバーバッチ、サラ・ジェシカ・パーカー、キャサリン・ゼタ=ジョーンズ、マイケル・ダグラスなど錚々たる人たちが登場。各会場で貴重なトークが繰り広げられ、映画祭を盛り上げました。

パーティはさまざまな国の映画関係者が交流する場

  また、夜はレッドシー ソーシャルクラブと題したパーティが行われ、アラブ諸国を中心に世界中から集まった制作者、演者、プレスなど映画関係者の交流の場に。サウジアラビアでは外国人であってもアルコールは一切禁止のため、モクテルを片手にミュージシャンの演奏やDJの音楽に合わせて、その場に居合わせた人同士が一緒に躍るほどの盛り上がりを見せました。

2025.04.12(土)
文・写真=石川博也