今なお進化を続ける“おおたにさん”のカステラ

 3代目になってからレシピがどんどん改良されているというから驚きです。今のおおたにさんの野球カステラの大きな特徴は、バターが入っていること。

 「昔は甘いもんがなかったから売れてたんやろうけど、今は違うでしょ。昔ながらもいいけど、いまおいしいもの、もう一度食べたいと思ってもらえるものを作っていかないと」と3代目。しかも、バターを材料に加えたのは、2024年10月からだというから驚きです。レシピ改良の際には、お客さんにアンケートをとって意見を聞いたそう。「バターの値段が高いからコストもかかるけど、まぁいいやって」と笑います。

  改良を重ねて、野球カステラを日本だけじゃなく、アメリカ、メジャーにも広めたいと大谷さんは意気込みます。

 野球カステラを作っているお店はおおたにさん以外にもいくつかあり、形やレシピはお店によって異なります。おおたにさんでは、ぎゅっと生地が詰まった小さめのサイズで、バットやミット、帽子などの形を綺麗に出すことを意識されているそうです。

 袋詰めの際は、きちんと全種類の形が入るようにしているのも特徴で、これは「子どもたちが喧嘩しないように」という、お母様から受け継いだこだわりだといいます。

 現在は3人目のお弟子さんもとられていて、いま再び注目が集まる神戸名物の野球カステラの伝統が守られています。

2025.01.26(日)
文=狸山みほたん
写真=釜谷洋史