グローバルちょんまげ賞、真田広之!

 2023年から風は感じていた。私の気のせいだろうか。いや、気のせいではない。今、時代劇がおおいに盛り上がっている――。

 少し前、ある方からこんなコメントも頂いた。

「田中さん、真田広之さん主演の『SHOGUN 将軍』がエミー賞を取りましたね。ちょんまげランキング、更新しなくていいんですか?」

 私は驚いた。ま、まさか「ベスト・オブ・ちょんまげ」企画を覚えてくれていた人がいたとは!

 それに、真田広之さんは私も大好きだ。特に1983年公開の角川映画「里見八犬伝」の親兵衛は今でも鮮明に覚えている。軽やかな身のこなしが本当にカッコ良かった。

 今回の「SHOGUN 将軍」吉井虎永役も、もちろん激シブ、凛々しいちょんまげ姿であったが、頭頂部を剃っていないタイプだった。ちなみに、ここでマメ知識だが、頭頂部を剃り上げた部分は「月代(さかやき)」と呼ぶ。あれは兜や烏帽子をかぶる際に、蒸れてしまうので、いっそ剃ってしまえ的な感じで生まれた髪形らしい。

 真田広之さんはFX Networkのインタビューで、虎永役のヘアスタイルについて

「ちょんまげは重要だからね。月代なし、月代あり、日本式や西洋風、いろいろ試して、カメラテストを行ったよ。そして最終的にミックスバージョンに決まりました。私の頭の上でイーストミーツウエストしている感じ……」

 と、語っておられた。

 SHOGUNちょんまげ秘話をボーイミーツガールみたいに話す真田さん、可愛い! ヘアスタイルを担当したのは、2002年に真田さんが主演した「たそがれ清兵衛」の方だということも説明されていたのだが、インタビューが英語で、「たそがれ清兵衛」を「トワイライトサムライ」と仰っていた。ぬおお海外ではそんなタイトルになっているのか。なんとも風流!

●奥が深い時代劇ヘア

 ちょんまげに話を戻そう。真田さんのちょんまげ姿は素晴らしい。「グローバルちょんまげ賞」は彼で文句なし、満場一致だろう。ただ、私個人としては、真田広之さんは、野村萬斎さん主演「陰陽師」での、悪役・道尊を演じた際のざんばらロングヘアも捨てがたい! いや焦るな私。戦いに負け、ちょんまげが取れてしまったあとの落ち武者ロングボブが似合う俳優賞については、別の機会を作ろう。まずは正統なちょんまげからだ。

 さらにいえば、2025年1月5日から、江戸時代の出版業界を描いた大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」が始まる。2023年に私が選定した「ベスト・オブ・ちょんまげ」はサムライちょんまげが似合う俳優であったが、今回は文化人ちょんまげにも目を向けておくべきだろう。

 いやいや、その前に、今期の大河ドラマ「光る君へ」にリスペクトを送りたい。その意味で「ベスト冠・烏帽子ニスト」は発表しておくべきだろう――。

 ああ、頭の中で名だたる俳優の烏帽子&ちょんまげ姿の頭部がボンボンと浮遊している。ものすごく気持ち悪い状態なので、迅速にアウトプットしなければ……!

 2023年に登場した俳優は選外とし(気になる方はコチラをご覧ください)、今回は、時代劇の未来を担う俳優たちをピックアップ。さあ、いざいざ発表。いよーッポン!(←鼓の音)

2024.12.12(木)
文=田中 稲