この記事の連載

何を言われようが私の人生だから

にしな 創作を続けていると「昔の方が好きだった」みたいに言われることってありませんか? ありがたい意見だなと思いつつ、たまにモヤモヤとすることがあって……。

つづ井 確かに、私も最初の頃はBLとか二次創作とかアニメのことを書いてたのに、途中から俳優が好きになって全然オタクじゃないよねって言われることもあります。でも、「つづ井さん」は私の人生の変遷を生身でお届けしているものなので、何を言われようが、え、だって私の人生だから……って(笑)。じゃあ、おもしろいと思うところだけお楽しみいただければ――と思うようにしています。

にしな すごく共感します。私もジャンルは違えど、同じように自分の人生の中で自分は今こう思ってる――みたいな記録を作品として残している感覚はあるので、いろんな人に聴いてもらえるようになっても「自分のために書いてる」という部分は大切にしています。

つづ井 私もそうですね。「つづ井さん」ってマンガ作品ではあるんですが、そもそもは自分が楽しむために描いた絵日記で、それが本になって、さらにはドラマになったことは本当にありがたい限りなんですが、今も基本的には自分が見返すために描いています。日々生活していて、当然いろんなことがある。たまにはモヤモヤとすることもあるはあるんですけど、そのモヤモヤや怒りを作品に昇華するタイプでは私はないので。「忘れちゃうのはもったいないなー」と思う、楽しいことだけを切り取って描いてますね。

 そんな人生のいい部分だけ切り取ったアルバムがあれば、たとえ嫌なことがあっても「こんな楽しい出来事があるなら人生悪くないじゃん!」って思えるし、楽しかったなーって思い出しながら描いてる時間も楽しいので、自分にとって絵日記は精神衛生の支えになってるんです。

2024.10.31(木)
文=井口啓子
撮影=佐藤 亘
ヘアメイク=山口恵理子
スタイリスト=中西愛里佳