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「平熱感」と「しょうもなさ」

つづ井 今日も「ねこぜ」を聴きながら来たんですが、曲調も歌詞も、あとにしなさんの声も熱がこもりすぎず飄々と楽しげで、いい意味での「平熱感」がある。それってまさに、私が日頃から「こういう人生、こういう日常でありたいな」と思っているイメージなので、そこを汲み取ってもらえたのがうれしくて。

にしな 私も「平熱感」は漠然とイメージしていたことで。なんか深刻になりすぎない「しょうもなさ」を大切にしたいなって思ってました。普段、曲を作るときは思い詰めてしまうことも多いんですが、「ねこぜ」はいい意味でライトに楽しい気持ちで作れました。

つづ井 私も絵日記を描く上で「しょうもなさ」はすごく大切にしているので、気持ちが通じた気がします。

にしな つづ井さんに聴いてもらったのは、私が家で録ったデモ音源で、実はそれをベースに一度はレコーディングスタジオでちゃんとレコーディングもしたんです。でも完成した曲を聴いたら、ちょっと熱が入りすぎてる気がして。最初のシンプルなデモ音源の方が「つづ井さん」らしい! って、結局、デモバージョンの方を採用しました。

つづ井 あの飄々感が好きだったので、よかった(笑)。歌詞に関しても、私からは何も言っていないのにこんなに自分が思ってることを歌ってくれてるんだ! って、びっくりしました。

2024.10.31(木)
文=井口啓子
撮影=佐藤 亘
ヘアメイク=山口恵理子
スタイリスト=中西愛里佳