この記事の連載

 2024年9月に出版された『わかったさんのスイートポテト』(あかね書房)は、故・寺村輝夫先生の想いを継いで絵本作家・永井郁子さんが描く新シリーズです。

 小学生に読み継がれる名作「わかったさんのおかし」シリーズは、どのように誕生したのか。永井さんが絵本作家を志したきっかけや寺村先生との出会いをお聞きました。

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甥っ子に向けて作った1冊の絵本がきっかけで

――永井さんが絵本作家を志したきっかけは何ですか?

永井 美大在籍中に教職課程を取っていて、授業の課題で絵本を作ったんです。私は甥っ子にプレゼントしようと思って、「たけしくんのクリスマス」というタイトルで物語を描きました。星の中をソリに乗ってお城に行くと、王子様のたけしくんがいる。お城から空を見ると飛行機が飛んでいて、目を覚ますと枕もとの靴下に飛行機が入っている、みたいなオリジナルストーリーです。

 甥っ子はとっても喜んで、手元に戻ってきた絵本はボロボロになるほど愛読してくれていました。そのことに感動して、絵本作家になろうと決めたんです。

 当時は油絵を専攻していましたけど、世界に一人っきりで入っていくような感覚があってあまり向いていなかったんですよね。どちらかというと絵本のように、いろんな人に喜んでもらうのが好きなんです。

2024.09.13(金)
文=ゆきどっぐ
撮影=山元茂樹