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日帰りではもったいない“魔法の島”を知る
ナポリ湾の島の中で最も小さなプロチダ島はイスキアからフェリーで20分ほど。
ナポリ港からも高速船で30分で行くことができるため日帰り客が多いが、1~2泊宿泊すると魅力がいっそう実感できる。
映画『イル・ポスティーノ』の舞台にもなった、コリチェッラの入り江にはピンクや水色、イエローといったパステルカラーのスタッコ(漆喰)の建物が、絶壁に沿うようにして連なり、絵画を思わせる風景が旅人を虜にしてきた。
漁師が海からでも自分の家がすぐに分かるように色付けをしたなど様々な説があるが、南イタリアらしい明るく開放的な景色は心ときめかせるものだ。
この絶景を目の当たりにできる宿が、高台にある「ラ・カーサ・スル・マーレ」。10室のこぢんまりとしたB&Bで全室設置のバルコニーからは、街灯りに浮かび上がる幻想的な夜景、朝日に照らされ輝きを放つ姿など、時間帯ごとの島の煌めきを目に焼き付けられる。
また、賑やかな海辺のエリアとは違ったひとときを過ごせるのが南西の地区にある「インスラ・ブティック・ホテルプロチダ」。
サン・ミケーレ教会の神父の住まいだった建物を改装した4ツ星ホテル。プロチダ出身のディレクターに島の魅力を聞くと「ここは魔法の島です。私は長年、島を離れていたんですが外に出て改めて素晴らしさに気づきました。
自然の美しさ、緩やかな時の流れが、手で触れられる近さにあるんです」と教えてくれた。
ホテル近くにはパノラミックな景色が広がる展望スポット、ベルヴェデーレ・エルサ・モランテがあり雄大な情景をただ眺めているだけで心に栄養が注がれるようだ。
Column
CREA Traveller
文藝春秋が発行するラグジュアリートラベルマガジン「CREA Traveller」の公式サイト。国内外の憧れのデスティネーションの魅力と、ハイクオリティな旅の情報をお届けします。
2024.09.09(月)
文=梅崎奈津子
写真=橋本 篤
コーディネイト=祝 美也子