この記事の連載

◆2位『どくだみの花咲くころ』城戸志保

 主人公は生粋の優等生で「触らぬ神に祟りなし」タイプの清水くん。かんしゃく持ちで度を越したマイペース変人である信楽くんとは距離を置いていたのですが―図工の時間に盗み見た彼の紙粘土作品に心を奪われ、隠れファンに。ひそかに信楽くんを観察し、その創作物に衝撃を受けて大まじめにどハマりしていく姿がおもしろすぎ!

 信楽くんと接するうちに、まっとうでソツがないキャラのはずの清水くんのマヌケな部分がむき出しになってくるのも楽しみどころです。

 まだ“友情”と呼ぶには生煮えすぎるふたりの関係性はどのように熟していくのか。予測不能な行動が展開されるこの小学生ワールドは極上のリラックス空間です。

「こんな魅力的なキャラクターを表現できる城戸先生は人生何周目なのでしょうか?」(honto コミック担当 荻野晶さん)

「『生きづらさ』系に見せかけつつなんだかずっとトボけている心地よさ」(編集者・元「このマンガがすごい!」編集長 薗部真一さん)

「小学生男子ふたりの関係性の真ん中に創作物があるという設定がエモすぎて……」(ライター・編集者 山脇麻生さん)

honto コミック担当
荻野晶(おぎの・あき)さん


編集者・元「このマンガがすごい!」編集長
薗部真一(そのべ・しんいち)さん


ライター・編集者
山脇麻生(やまわき・まお)さん

2024.09.06(金)
文=粟生こずえ
写真=平松市聖

CREA 2024年秋号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

この記事の掲載号

楽しいひとり温泉。

CREA 2024年秋号

楽しいひとり温泉。

定価980円

CREAがはじめてひとり温泉を特集して7年。当時は「女性がひとりで温泉なんて!」と驚きを持って受け止められたこのテーマも、いつか珍しくない光景となりました。そして8年目となる今年、「ひとり温泉」は次なるフェーズへ。コロナ禍を経て、進化する“温泉地”を舞台に、めぐる旅を大特集します。いまこそ、めぐるか。それでも、こもるか。さあこの秋こそ、楽しいひとり温泉へ!