この記事の連載
◆2位『どくだみの花咲くころ』城戸志保
主人公は生粋の優等生で「触らぬ神に祟りなし」タイプの清水くん。かんしゃく持ちで度を越したマイペース変人である信楽くんとは距離を置いていたのですが―図工の時間に盗み見た彼の紙粘土作品に心を奪われ、隠れファンに。ひそかに信楽くんを観察し、その創作物に衝撃を受けて大まじめにどハマりしていく姿がおもしろすぎ!
信楽くんと接するうちに、まっとうでソツがないキャラのはずの清水くんのマヌケな部分がむき出しになってくるのも楽しみどころです。
まだ“友情”と呼ぶには生煮えすぎるふたりの関係性はどのように熟していくのか。予測不能な行動が展開されるこの小学生ワールドは極上のリラックス空間です。
「こんな魅力的なキャラクターを表現できる城戸先生は人生何周目なのでしょうか?」(honto コミック担当 荻野晶さん)
「『生きづらさ』系に見せかけつつなんだかずっとトボけている心地よさ」(編集者・元「このマンガがすごい!」編集長 薗部真一さん)
「小学生男子ふたりの関係性の真ん中に創作物があるという設定がエモすぎて……」(ライター・編集者 山脇麻生さん)
2024.09.06(金)
文=粟生こずえ
写真=平松市聖