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地域の祭りを根本から支える「さどやニッポン株式会社」

 集落の数ほど鬼があるといわれ、1年中、島のどこかで祭りが行われている佐渡島。鬼が舞い、獅子が舞う。太鼓、お囃子が祭りをさらに盛り上げ、五穀豊穣、大漁、家内安全を祈ります。

「地域のまつりを根本から支えられる会社」を目指して誕生した「さどやニッポン株式会社」は、鬼太鼓の面や祭具の工房、各芸能の稽古場、映像スタジオなどを兼ねる複合会社。冬篇でご紹介した「鮨 長三郎」のすぐ向かいにあります。

「島内には120以上の集落ごとの鬼太鼓があり、同じものはありません。みんな違うし、横のつながりも大切にして、もっと高め合っていけたらいいですよね。だから、祭具づくりだけでなく、芸事そのものの継承、地域間や国内外の交流、祭りの食の発信や継承、それらを記録した映像撮影編集発信なども積極的に行なっています」

 そう語るのは、獅子も鬼も新穂中央青年会会長も経験している代表の相田忠明さん。相田さんは地域の枠を超え、さまざまな鬼太鼓団体とともに世界を舞台に角付けする「佐渡祭ワールドツアー」の実行委員長も務めています。

 伝統食や祭り文化を体感する企画、鬼太鼓でも欠かせない「わらじ」やわら細工のワークショップなど、何かひとつを守るためには、多方面からアクションを起こさなければならないと、さまざまな取り組みにチャレンジしています。

 例えば、わらじをつくるためには、素材となる稲わらが必要です。そのわらも米づくりからはじまり、稲からモミ(お米)をとったあとの抜け殻を干してからでないと材料になりません。それをかろうじて用意できるのは、相田さん自身が米農家でもあるから。それでも管理は苦労しているそう。

 また、語るより伝わりやすく、後世に記録も残せる「映像」という表現を通して「地域のいまを感じながら、次の未来へ佐渡をつなげる」ドキュメンタリーシリーズもYouTubeチャンネル「イチエイチ」で公開しているので要チェック!

お米が、おにぎりが、団子がうめぇっちゃ!「御縁GOEN」

 通りに面した併設の茶屋では、相田さんのお米のおにぎりや団子を販売しています。ベンチも用意されていますが、地元で「山王さん」と親しまれる新穂地区のランドマーク「日吉神社」で食べるのも風情があります。「見ざる」「言わざる」「聞かざる」の三猿をはじめ、鳥居や柱に意匠に猿が潜んでいることから「御縁GOEN」のロゴにも猿がひっそりと5匹潜ませているのがユニーク。

 佐渡相田ライスファーミングのお米と新穂の水でつくるおにぎりと団子。どれもおいしいのですが、迷ったらぜひ「焼き醤油」のおにぎりを。相田さんいわく「まるで卵かけごはん」で、卵は入っていないのに、のけ反るほどその通り! また自然の甘みを楽しめる「無垢の蒸し団子」100円も格別です。

「一番安い商品は子どもたちでも手軽に買える100円に拘り! その想いから、無垢の団子とおにぎりは税込100円。それ以外もプラス10円で買える価格。最高級のお米を原価で取り扱えるからこそのお値段。パリのおにぎり屋でも大人気のお米を100円で出すことにこだわりを持っています」と相田さん。

 食後のデザートは、近くにあるジャラートショップへ。

さどやニッポン株式会社

所在地 新潟県佐渡市新穂55
電話番号 0259-58-7337
営業時間 9:00~17:30
定休日 土・日曜
https://sadoyanippon.com
https://www.youtube.com/channel/UCLV5ctcTgJzQyI9mTfRN4vw

御縁GOEN

営業時間 11:00~16:00
営業日 水・金・日曜
https://www.instagram.com/goen.chaya

2024.08.05(月)
文=大嶋律子(giraffe)
写真=釜谷洋史