この記事の連載
京都旅【前篇】
京都旅【後篇】
夕餉は「東華菜館 本店」で大正浪漫の世界へトリップ
![鴨川河畔にそびえるスパニッシュ・バロック様式の洋館。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/e/8/1280wm/img_e8ccd8e746f718ea3676a5dea57f2212113111.jpg)
![建築家のウィリアム・メレル・ヴォーリズによる生涯唯一のレストラン建築。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/a/f/1280wm/img_af40a8d55097d36582cad8f9108ae5ce133366.jpg)
京都に旅したことのある人なら一度は見たことがある鴨川河畔のこちらは、本格的な北京料理が味わえると人気の「東華菜館 本店」。前身となる西洋料理店「矢尾政」の二代目店主・浅井安次郎が、建築家のウィリアム・メレル・ヴォーリズに“新しいビアレストラン”をイメージして設計を依頼。大正15年にこのスパニッシュ・バロック様式の洋館が誕生しました。
その後戦時色が深まり、洋食レストランの存続が許されない時代が訪れます。浅井は中国人の友人・于 永善に建物を託すかたちで、この洋館を未来につなげることを決断しました。そうして昭和20年末に誕生したのが東華菜館です。古き良き伝統を現在につなぐ北京料理を、コース料理から一品料理まで、お客の予算と好みに合わせて提供しています。
![コース料理は1人前6,600円〜。※写真は伊勢海老付き前菜のある11,000円コースのイメージ。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/f/2/1280wm/img_f21a4803fc6c8dbb39cd6ce8c6443b05119062.jpg)
![ヴォーリーズ建築による美しい装飾が目を楽しませてくれる。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/c/d/1280wm/img_cdf990b410a8f3877935732161e413dc91612.jpg)
日本各地に数々の名建築を残したことで知られるヴォーリーズですが、レストランを手掛けたのは彼の生涯でここ東華菜館だけ。シンプルな直線と曲線を組み合わせた天井や扉などの美しい装飾はもちろん、建物に合わせてヴォーリーズが設計した調度品や花台も見どころ。料理とともに私たちをもてなしてくれます。
![今も活躍する日本最古のエレベーター。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/c/1/1280wm/img_c11d75375c9ff82ade576fe2f8f31c9e154377.jpg)
店の一角で存在感を放つのは、1924年に米国で製造、輸入された現存する日本最古のエレベーター。運転手による手動式の昇降によって、なんと今も現役で個室や宴会場へとお客を案内してくれます。訪れる人からはたびたび「映画『千と千尋の神隠し』に出てくるエレベーターのよう」と言われるそう。
ほぼ大正15年竣工当時の姿を残し、その維持管理や保存に努めている東華菜館 本店。日常を忘れて、異国情緒あふれる大正ロマンの世界にトリップしてみては?
![東華菜館 本店。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/a/b/1280wm/img_abaa22280ace0f608b957cb73af99534161858.jpg)
東華菜館 本店
所在地 京都市下京区四条大橋西詰
電話番号 075-221-1147
営業時間 平日/11:30~15:00(L.O.14:30)、17:00~21:30(ラストオーダー21:00) 土日祝/11:30~21:30(L.O.21:00)
定休日 週1日 不定休
》【後篇】「東福寺」の重要文化財や国宝と京の迎賓館「長楽館」で贅沢な1日を読む
そうだ 京都、行こう。
![](https://crea.ismcdn.jp/common/images/blank.gif)
2024.07.17(水)
文=石橋果奈