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 1993年秋にスタートし、30年の節目を迎えた東海旅客鉄道株式会社の観光キャンペーン「そうだ 京都、行こう。」。2024年夏は「京都がくれる癒し」がテーマ。“旅人”として女優の安藤サクラさんが登場し、彼女が京都でさまざまな“癒し”に出会い、心情が変化していく様子を描いたCMも話題になっています。

 今回は、30年に渡り、京都の魅力を発信し続けた「そうだ 京都、行こう。」スタッフがおすすめする一泊二日の“癒し旅”をご紹介。

》【後篇】「東福寺」の重要文化財や国宝と京の迎賓館「長楽館」で贅沢な1日を読む


【1日目】「蓮華寺」での“拝観”が自分を見つめ直す時間に

 京都市左京区に位置する蓮華寺(れんげじ)は、「そうだ 京都、行こう。」2024年夏のキャンペーンCMの舞台となったお寺。応仁の乱の後、荒れ果てていましたが、寛文2年(1662年)に加賀藩前田家の家老 今枝近義が現在の地に再興しました。

 京都の市街地から少しはなれ、比叡山の麓にひっそりと佇む蓮華寺。一歩足を踏み入れると、どこか神聖でひんやりとした空気が体を包みます。顔を上げると初夏の風物詩・青もみじが輝き、足元に目をうつすと一面がさまざまな苔で覆われていました。

 生命力溢れる苔が見られるのは、湿度が高く風が弱い京都の山沿いのお寺ならでは。目に鮮やかな緑が、日々の生活に追われ、疲れた心を癒してくれます。

 副住職が「外にあるお経、外にある仏壇だと思っていただきたい」と語る池泉回遊式庭園は、江戸初期を代表する詩人・石川丈山作と伝わるもの。極楽浄土に近づく喜びが、鶴や亀に見立てた石組みで表現されています。

 お堂の柱を額縁に見立てて庭園を眺めれば、まるで名画のような美しさ。畳の上で庭園と向き合う“拝観”が、自分を見つめ直す癒しの時間につながるはず。

蓮華寺

所在地 京都市左京区上高野八幡町1
電話番号 075-781-3494
拝観時間 9:00~17:00
拝観料 500円
※特別な許可を得て撮影をしています。
※写真の二次利用及び転載は禁止です。

2024.07.17(水)
文=石橋果奈