世界を旅する女性トラベルライターが、これまでデジカメのメモリーの奥に眠らせたままだった小ネタをお蔵出しするのがこのコラム。敏腕の4人が、週替わりで登板します。

 第25回は、小野アムスデン道子さんが日系アメリカ人の歴史、そして彼らが培ってきた食についてロサンゼルスから報告します。

全米日系人博物館で92歳のボランティアガイドに会う

左:一時代前の日本といった風情の日本村プラザ。
右:全米日系人博物館はその日本村プラザの前に立つ。

 アメリカに最初に移住した日本人と言えば、ジョン万次郎。その後、明治時代に多数の日本人がサトウキビ畑で働くべくハワイに移住。次いで多かった移住先が、アメリカ西海岸だ。LA(ロサンゼルス)のリトル・トーキョーには、全米で唯一の全米日系人博物館がある。

左:カリフォルニア州にあったマンザナール強制収容所の様子が展示されている。
右:日系2世のボランティアガイドの方々が自らの経験を交えて語ってくれる。

 最初の展示室にある海を渡った日系1世達のトランクの前で解説してくれるのは、92歳のボランティアガイド、日系2世の大島栄一ラーリーさん。第2次世界大戦を経験している日系2世の人達は、大変な差別を受けたと思われるのに、日本語も達者なラーリーさんはたんたんとその時の生活を語る。アメリカのために志願して兵役についた日系人兵士部隊、西海岸の強制収容所に入った人々。暗さや悲惨さより、日系人の我慢強さと頑張りがひしひしと伝わってくる。そして、移民の国と戦争、ルーツとアイデンティティの狭間など、小さいが考えさせられることの多い博物館だった。

Japanese American National Museum (全米日系人博物館)
所在地 100 N Central Ave. Los Angeles, California
電話番号 +1-213-625-0414
URL  http://www.janm.org/jpn/main_jp.html

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2014.03.18(火)
文・撮影=小野アムスデン道子