世界を旅する女性トラベルライターが、これまでデジカメのメモリーの奥に眠らせたままだった小ネタをお蔵出しするのがこのコラム。敏腕の4人が、週替わりで登板します。
第17回は、小野アムスデン道子さんがアラスカで遭遇したさまざまな動物たちとの思い出を綴ります。
森・海・動物、アラスカで自然の共生を知る
日本の4倍ほどもある国土を自然林に覆われたアラスカ。冷たく澄んだ海からは豊富に魚介類が獲れて、そのすべてが天然。そして、そんな自然の恵みを分け合う動物たちが野生の中で生きている。いろんな動物や魚との出会い、アラスカを旅すると自然との共生を身をもって感じられる。
アラスカ州の州都ジュノーから水上飛行機で30分のパブロフ・クリーク。夏にサーモンが産卵のために戻ってくる故郷の川だ。何百というサーモンが、遡上してきて、産卵を終えたのちにここで一生を終える。この川で川釣りを楽しむためにお願いしたネイチャーガイドは、猟銃を携行していく。
「ここはブラウンベアー(ヒグマ)がいるから。使ったことはないけど、念のため」と彼。釣りを始めると、ビギナーでも結構釣れて、ルアーを飛ばすのにだんだん夢中になる。と、その時、ふっと川向こうに目をやると、そこにいたのはまさしくヒグマ!
サーモンを獲るのに夢中なクマはこちらを見向きもしない。このクマの食べ残しを鳥が食べて、その糞が養分となり豊かな森を作る。それでまた川の水も蓄えられるという自然の循環がここでは生きている。
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2014.01.21(火)
text & photographs:Michiko Ono Amsden