「テバに短いソックスを合わせて…」Y2Kファッションでも定番のあのコーディネートも
機能面だけなく、デザイン面も支持され、ファッションアイテムとして街での人気も高まっていく。
数ある製品の中でもテバを代表するコレクションが「ハリケーン」。ユニバーサル ストラップ システムに加え、高いグリップ性で滑りにくいアウトソール、衝撃を緩和し長時間歩いても疲れにくいミッドソールを搭載した人気モデルだ。
「ハリケーンは、厚底だったり、ストラップの形が変わったり、スライドタイプだったり、いろんなデザインの製品が生まれていますが、ソールの作りは一貫しています。すべてのモデルで履き心地とグリップ力を兼ね備えながら、さまざまな用途に応じて少しずつ特徴を変えているという感じですね。テバの歴史は、ハリケーンの進化とともにあるといっても過言ではありません」
現在も人気の「スポーツサンダル×ソックス」のコーディネートも、テバの流行とともに広まっていったそう。
「僕は90~00年ごろに古着屋で働いていたんですが、ロサンゼルスのローズボール・フリーマーケットに買い付けに行ったときに初めてテバを知りました。当時、ロサンゼルスの若者の間でテバのサンダルに霜降り柄の厚手の靴下を合わせるのがすごく流行っていたんです」
その後、日本で本格的にテバの人気に火がついたのは、2010年代。2012年にデッカーズジャパンが国内販売をスタートすると、アウトドア店やスポーツ店のみならず、セレクトショップがフィーチャー。数々のブランドとの別注モデルも展開し、認知度をますます高めていった。
「日本では、黒のハリケーンに短めの白ソックス、ショートパンツを合わせるスタイルが流行しました。若い世代が様々なコーディネートでテバを楽しんでくれて、それが幅広い世代に普及していったように思います。『スポサン』という言葉もこの頃からよく聞くようになりました」
冬にも活躍する、テバのもうひとつのヒット作
さて、もうひとつテバのベストセラーとして特筆したいのが、モックシューズの「エンバー」シリーズだ。かかと部分を踏んで履くこともできる2WAYのデザインはこれまた先駆的だった。
「キャンプのときには、脱ぎ履きがしやすくてテント内外で使いやすいシューズ。しっかりと歩けるし、リラックスにも使えて好評をいただきました。販売当初は疑心暗鬼だったのですが、店頭からあっという間になくなっていったのを覚えています。その後は、テバの秋冬の代表選手となっています」
現在では、デザインやクッション性をアップデートした「リエンバー」がシリーズを継承している。
2024.06.16(日)
文=一ノ瀬 伸
撮影=杉山秀樹