俳優にとって大事なものは「思いやり」
――最後に。おふたりは俳優にとって大事なものは何だと思いますか?
松田 うーん、なんだろう……。
小松 「思いやり」かな。ひとりでできる仕事ではないですし、照明部さんや撮影部さんや、それぞれの部署の方に補っていただいて、俳優は成立します。誰が欠けてもできないし、一緒に作ってくださる仲間だと思うので、思いやりを忘れずにいれば、みんなが豊かになれるんじゃないかなと思いますね。
松田 思いやりかー。
小松 現場では初めてご一緒する人も多いし、勝手なことはできないですよね。
――もし気の合わない人がいたら、どう対処しますか?
小松 そういう人もいるんだな、と思いながら対応します。シャッターを下ろすことはしないですね。
松田 思いやりは確かに大事ですね。
――『わたくしどもは。』の撮影現場はどんな雰囲気だったのですか?
松田 全て島での撮影だったから、みんな佐渡島に泊まっていて。アットホームな感じがありましたね。
佐渡島の皆さんの、協力ありきの映画だったと思いますし、ほんと良くしてもらって。色んな具が入ってるたい焼きを昼はまず食べに行って。廃校のお店のコーヒーもおいしかったし。
小松 ご自身で作られたお米やお野菜を使ったメニューを出しておられて。朝にはおにぎりをみんなに配ってくださって、本当においしかったですね。
オフの時間もあって、私は海をボーッと眺めながら音楽を聴いたり、「アカ」を演じた田中椿さんのお母さんに車で自然の美しいところに連れて行っていただいたりしていました。ここでマイナスイオンをたくさん吸っておかなくちゃと思って(笑)、たっぷり癒されました。
松田 でも、自然の癒しも貪りすぎるとやばいんですよ。
小松 どういうことですか?
松田 前に川で撮影していたときにマイナスイオンを浴びなきゃって日傘もささずに貪りはしゃいでいたら日に当たりすぎて日射病みたいになっちゃって。
色んなものからキッカケをもらって役につなげようとするところがあるから、寒いとか暑いみたいなことすらも落とし込もうとしちゃって。日射病になっちゃうみたいな。いや、ほんと日射病はやばいよ。
小松 それは大変でしたね(笑)。
松田 ほんと、何かに頼りすぎないでちゃんと台本読まないとだよね。一つ大人になれました(笑)。
小松菜奈(こまつ なな)
1996年生まれ、東京都出身。2008年にモデルデビュー。14年長編映画初出演の『渇き。』で、第38回日本アカデミー賞新人俳優賞など、多数受賞。映画『沈黙-サイレンス-』(16年)でハリウッドデビュー。『閉鎖病棟―それぞれの朝―』(19年)で、第43回日本アカデミー賞優秀助演女優賞、『糸』(20年)で第44回日本アカデミー賞優秀主演女優賞を受賞。最近の主な出演映画に『さよならくちびる』(19年)、『さくら』(20年)、『ムーンライト・シャドウ』『恋する寄生虫』(ともに21年)、『余命10年』(22年)など。2016年からシャネルのアンバサダーを務めている。
松田龍平(まつだ りゅうへい)
1983年生まれ、東京都出身。99年『御法度』で俳優デビュー。第23回日本アカデミー賞新人俳優賞ほか、数々の新人賞を総なめにする。2013年『舟を編む』で、第37回日本アカデミー賞最優秀男優賞ほか多数受賞。最近の主な出演映画に『モヒカン故郷に帰る』、『ぼくのおじさん』(16年)、『散歩する侵略者』(17年)、『羊の木』『泣き虫しょったんの奇跡』(ともに18年)、『影裏』(19年)、ドラマに『大豆田とわ子と三人の元夫』(TBS 21年)、連続ドラマW『0.5の男』(WOWOW 23年)、『いちげき』(NHK 23年)、『ケンシロウによろしく』(DMMオリジナル23年)など。『次元を超える TRANSCENDING DIMENSIONS』が24年公開予定。
『わたくしどもは。』
監督・脚本・編集:富名哲也
出演:小松菜奈、松田龍平
片岡千之助、石橋静河、内田也哉子、森山開次、辰巳満次郎/田中泯
大竹しのぶ
音楽:野田洋次郎
企画・プロデュース・キャスティング:畠中美奈
製作・配給:テツヤトミナフィルム
https://watakushidomowa.com/
小松菜奈さん衣装クレジット
ジャケット 145,200円、スカート 99,000円/共にアクネ ストゥディオズ(アクネ ストゥディオズ アオヤマ 03-6418-9923)
中に着ているシャツ 66,000円(参考価格)/アヴァヴァヴ(サカス ピーアール 03-6447-2762)
シューズ 24,200円/アルム(https://almofficial.com/)
リング「ココ クラッシュ」左手 人さし指 (上)246,400円 、(下)638,000円、中指 (上)451,000円、(下)264,000円/全てシャネル(シャネル カスタマーケア 0120-525-519)
2024.05.31(金)
文=黒瀬朋子
撮影=鈴木七絵
ヘアメイク=小澤麻衣(mod’s hair)(小松さん)、Taro Yoshida(W)(松田さん)
スタイリスト=遠藤彩香 (小松さん)、石井大(松田さん)