この記事の連載
鎌倉でダンナさんと暮らしながら、ハワイや沖縄、もちろん東京でも料理の本を作ったり、取材をしたり。料理と旅の編集者・赤澤かおりさんは、どんなに忙しくても元気いっぱいなのです。
そんな赤澤さんが忙しい毎日のなかでほっとするのはやっぱり、地元・鎌倉に戻って、あるいはおうちで目一杯働いたあとに、お酒を飲む時間。基本的に前々から予約をとるよりも、その日のお腹に聞いて食べたいものと飲みたいものを求めて出かけます。
今回のシリーズは、「春の素材を食べるなら?」をお題に、ワインや日本酒を片手に楽しむお店へご案内。鎌倉の旬を意識したら、赤澤さん曰く「鎌倉イケおじのいる店」3選が裏テーマに!? 確かに、カウンターひとり飲みとイケおじは好相性!
こちらは北鎌倉で予約必至の一店です。
キッチンを囲むカウンター席を予約して
3軒目は、鎌倉のひとつお隣りの駅、北鎌倉から徒歩5分ほどのレストラン。ベースはイタリアンでもあり、ときどきフレンチの要素も加わったり、そうかと思うと和の要素も垣間見られる料理に、私はいつも驚かされ、ひと皿ごとに感動してきました。
そんな料理を作るオーナーシェフの秋月光広さんは、飾らないお人柄と、ゆる〜い、やわらかな雰囲気。これにやられ、料理のみならず、ファンになってしまう人多しのイケおじ。同い年の秋月さんとは時代的な話も合うので、料理に限らずいろいろな話で盛り上がります。が、盛り上がっていると思っているのは私だけ!? そういえば秋月さんはいつも穏やかに微笑んでいてくれます。
以前は、江ノ島でイタリアンを営んでいた秋月さんが静かな北鎌倉のこちらへ移転してから5年。鎌倉らしい風情ある蔵を改装した店内は、オープンキッチンを囲むように設えたカウンターと大きなテーブル席がひとつの、シックな装いです。
春のコース料理から私が特におすすめしたいのは、春らしい彩りが美しい、春野菜とサフランのチーズソース、菜の花のスープ、手打ちのタリオリーニ ふぐと春キャベツ、たけのこのブロッコリーピュレの3皿。
「春野菜とサフランのチーズソース」は、フォンティーナチーズを使ったサフランの香りが華やかなソースをからめながら食べる春野菜のひと皿は、もちろん最後までチーズソースを拭いながら食べたいのでパンとともにどうぞ。
「菜の花のスープ」と聞いたとき、常々、秋月さんからは仕込みに手間暇かけている様子を聞いていたこともあり、このメニュー名だけであれこれ妄想が広がりました。はまぐりからとったおだしをベースに菜の花のペーストを加え、とろんとした濃厚な味わいに仕立てた春のお花畑みたいなスープが登場!
見た目のかわいらしさにもうグッときましたが、味わいももちろん! ほんと、手間がかかってますねー。
2024.04.21(日)
文=赤澤かおり
撮影=榎本麻美