この記事の連載
- 赤澤かおりの鎌倉ひとり飲み #01
- 赤澤かおりの鎌倉ひとり飲み #02
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- 赤澤かおりの鎌倉ひとり飲み #18
鎌倉で旦那さんと暮らしながら、ハワイや沖縄、もちろん東京でも料理の本を作ったり、取材をしたり。料理編集者・赤澤かおりさんは、どんなに忙しくても元気いっぱいなのです。
忙しい毎日のなかで、ほっとするのはやっぱり、地元・鎌倉に戻って、もしくはおうちで目一杯働いて、お酒を飲む時間。基本的に前々から予約をとるよりも、その日のお腹に聞いて食べたいものと飲みたいものを求めて出かけます。
ふっと時間が空いたとき、ひとりでふらりと出かけた鎌倉で、女性ひとりでお酒を楽しむなら? 今回は鎌倉駅から横須賀線で2駅の「大船」。実は、ひとり飲みに最高すぎるエリアなのです! 今回は最高に癒される食堂飲み。
酒好きのオアシス・通称“かんのん食堂”
まだ20代だった頃にここを訪れるのは、ちょっと勇気がいりました。今でも、ここを訪れると大船の市場と古本屋をぶらりと流した後、緊張してガラガラと扉を開けたあの頃を思い出します。
古本屋さんで手持ちの本を売ってはまた買って、残ったお金でサクッと飲んで帰ろうというのがいつものパターン。でしたが、濃い木の色で囲まれた風情ある店内にいるのは、ほとんどが年輩の方ばかり。自分にとってはおじいちゃんのような方のなかにまじり、一丁前に飲むのは結構難儀なことでした。
それでも挫けず、幾度となく通ってきたのは、お店の年期の入った佇まいと店員さんたちの気取らない対応が好きだったから。早くこの空気に馴染める大人になりたいと思ったものです。
あれから約30年。幾度となく通い、果たして馴染めているのかは謎ですが、今もこうして時々、ひとり夕方飲みを楽しませてもらっております。
そんなここは、JR大船駅から徒歩1分。大船観音とは反対側に出てすぐの、魚屋さんも営んでいる居酒屋さんで、現在四代目となる女将が切り盛りする食堂部分と、弟さんが仕切る魚屋さん部分があるところ。魚料理のうまさは言わずもがなの「活魚料理 かんのん」、通称「かんのん食堂」。昭和12年創業、現在四代目が切り盛りする現在も、昼間から気持ちよく杯を交わす熟練の常連たちで賑わっていました。
ここでの飲みはまず、いくつかある小鉢を頼み、それから定食を注文してさらにそのおかずでも飲むという、ガッツリ飲み。ビールも、蕎麦屋(前シリーズもご覧ください!)では大人ぶって小瓶にしていましたが、ここでは大瓶か生ビールをジョッキで。
まずはしらすおろしで駆けつけ一杯。それからサクサクに揚がったアジフライをいただきながら、さらにビールをぐびぐび。このアジフライに添えてあるマカロニサラダにソースがちょっとついたりしたのを、合わせながら食べるのがいいんです。
ちなみに生ビールはサッポロ。大瓶は赤星という私の好みのビールというのもうれしい限り。
小腹が満たされたら間髪入れずに定食を注文。一番人気とお店の人がいう刺身定食は、こんなにすごいのに1,300円! と思うお得な定食。今日は赤身、中トロ、カンパチ、帆立も入ってこのお値段。太っ腹~!
添えられたれんこんのきんぴらや香の物をつまみながら、ビールをもう1本。それから刺身をつまみとして堪能。ちょっと飲みすぎたかなと思ったら、白飯をひと口パクリとして立て直し。この繰り返しで、最後は味噌汁と白飯で〆ています。
2024.12.08(日)
文=赤澤かおり
写真=榎本麻美