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『キングダム』シリーズに、『ゴールデンカムイ』と、日本映画のアクション大作には欠かせない存在となった山﨑賢人さん。4月19日からは、主演映画、安倍晴明の青春時代を描いた『陰陽師0』の公開も控えています。

 そんな山﨑さんに、主演を背負う心構えや、安倍晴明への共感を聞いていくうちに、「俳優とは、自分に“呪(しゅ)”をかけるようなもの」という、興味深い話題にたどり着きました。

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「事実だけを見ようとしている」というところが面白い

――山﨑さんは、陰陽師という職業の人たちや、安倍晴明というキャラクターにどのようなイメージを抱かれていましたか?

 陰陽師って、目に見えないものを操ったりする“呪術”が使えていた人なんですよね。当時は、その人たちが公務員として働いていて、方角を見て国の動きなどを占っていたりとか、特に安倍晴明は「狐の子」とも言われたりしていたということは知っていました。

 僕自身は、『陰陽師0』に出てくるような不思議な体験はしたことがないけれど、でも陰陽師が実在した職業だと思うと面白いし、「これって本当かな?」と思いながらも、当時のことをいろいろ想像を巡らせたりできると言う意味でも、この作品が好きです。だからこそ、陰陽師や安倍晴明が何度も映像化だったりメディア化されてきたんだと思うんです。

――今回の山﨑さんが演じる安倍晴明は、陰陽師になる前の学生時代の姿を描いた作品になっていました。これまでに描かれていなかった安倍晴明を演じる上で、どんなところを意識されましたか?

 シンプルに監督の佐藤嗣麻子さんが書かれた台本に忠実に演じようと思いました。まだ陰陽師になる前の学生の晴明なので、乗り越えるべきものを、まだ乗り越えていない姿を意識しました。

 晴明が「事実だけを見ようとしている」というところは、面白いなと思いました。晴明って、けっこう人に思ったことをストレートに言ってしまうキャラクターなので、性格が悪いように見えるかもしれないんですけど(笑)、性格が悪く見えすぎないように演じようと思いましたね。

 特に源博雅(染谷将太)のことを「バカ!」って言うような場面もあるんですけど、晴明からすると事実を言ってるだけだと思うし(笑)、そんな博雅とのやりとりも、見ている人に「いいバディだなあ」って思ってもらえたらいいなと考えながら演じていました。

2024.04.20(土)
文=西森路代
写真=平松市聖
ヘアメイク=髙橋幸一(Nestation)
スタイリスト=伊藤省吾(sitor)