この記事の連載

いつもより動いている選手はメンタルが強い

柳田 仮にひとつ前のラリーで失点したとしても、それ自体には、あまり固執しすぎないようにしています。それよりも、修正しなければいけない要素があった時は、なるべく早く修正しなければならないので、コミュニケーションをとったり、もちろん、自分を落ち着かせるためにセルフコントロールをしたり。その局面、局面でやることが変わります。

坪田 自分がミスをした時には、柳田選手はご自身を落ち着かせるタイプか、逆に鼓舞させるタイプか、どちらですか。

柳田 落ち着かせる方だと思いますね。でも、僕も人間なので、何でもかんでも100%、メンタルコントロール完璧です、というわけではないと思っています。気持ち的に向かっている方向を、無理に引き戻そうとすると、そこにもエネルギーを使う感覚があるから、悔しいんだったら悔しがっていいし、何も思わないんだったら、そのまま次のプレーに集中します。

坪田 ミスをした時にはこういう風に考えるみたいな、ルーティーンがあるのかと、勝手に想像していました。

柳田 ミスの後はこうするというルーティーンを持っている人もいるし、僕みたいなタイプもいます。いろいろあると思いますけど、本当に能力も気持ちも高い選手は、練習で100だったサーブを、試合では110、120で打つことができる。あとは、自分たちが良くないシチュエーションでも、いつもより動いている選手はメンタルが強い。チームに徹していて、負けたくないというのは、やはり気持ちの強い選手ですよね。

坪田 東京GBに今シーズンから加入されて、僕も先日、試合を観に行きました。以前、何かのインタビューで、柳田選手が「東京GBはVリーグに新風を吹かせられるチーム」ということをお話しされているのを読みましたが、具体的にどういったところに特徴があるんでしょうか。

柳田 まずは東京に拠点があるというのが大きいですね。東京GBはプロチームとして2年目のシーズンで、そこを一緒にやってきたわけですけど、日本のど真ん中、一番人口が多いところに、クラブがあるのが重要だと思います。会場での演出、さまざまなエンターテインメントを、観客の皆さまにお見せしているという部分でも、リーグでナンバーワンだと自負しています。バレーの試合を観ていただくことはもちろん大事ですけど、バレー以外の部分を楽しんでもらうことは、バレー界のみならず、スポーツ界全体でも大切なことなので。

2024.04.05(金)
文=第二文芸編集部
写真=榎本麻美
ヘアメイク=k.e.y小池康友
協力=東京グレートベアーズ