(3ページ目)「人間は完璧ではないことを心から理解できるようになりました」中元日芽香が適応障害から学んだこと

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今の私は「無理をしない」が人生の第一モットー

　休学・休職すると、人生の時間が自分だけ止まったような感覚になります。周囲の人たちがどんどん追い抜いていく様子を見聞きしてしまうと焦りますが、その後の長い人生を考えると必要な小休憩です。焦って復帰してストレス疾患が再発するよりも、一度しっかり立ち止まって休む方がいいです。お金のことなど生活に直結する不安と隣り合わせになってしまいますが、会社や自治体の補助金制度などをうまく活用してでも、休めるなら休んでいただきたいと個人的には思います。健康はお金では買えませんから。

　友人知人で休職している人には、「復職後は少々わがままでいいんだよ、自分を守れるのは自分だけなんだから」なんて話します。体調と相談しながら、「まだ〇時間以上働くのは厳しい」「今の部署はストレスだから異動した方がいいと主治医が言っている」など言っていいと思うって声をかけます。

　私ひとりでは、力になれる範囲がどうしても限られてしまいます。週7日、寝る間を惜しんで働いたら多少範囲が広がるかもしれないけれど、今の私は「無理をしない」が人生の第一モットーなので。

　それでも、私が発信している情報に触れた人が「カウンセリング、受けてみたいかも」と思い立ち、近所のカウンセリングルームにアクセスしてくれたらいいな。間接的にでも誰かの心を救いたい。そんな使命感を勝手に背負っています。

　また、「中元さんが適応障害を治して、元気に活動されている姿を見て励まされています。私も現在療養中で、これからの生活に不安を感じる瞬間もありますが、しっかり休んで社会復帰しようと思います」とも言われます。適応障害や、ほかの精神疾患で療養中の患者さんの希望にもなっているようです。

中元日芽香（なかもと・ひめか）

1996年4月13日生まれ。広島県出身。早稲田大学人間科学部eスクール卒業。2011年から6年間、アイドルグループ「乃木坂46」のメンバーとして活動したのち、2017年にグループを卒業。認知行動療法やカウンセリング学などを学び、2018年にカウンセリングサロン「モニカと私」を開設、心理カウンセラーとしての道を歩み始める。2021年、初の書き下ろしエッセイ『ありがとう、わたし乃木坂46を卒業して、心理カウンセラーになるまで』を刊行。現在はオンラインでのカウンセリングをメインに、メディア出演、執筆など多方面で活動中。