この記事の連載
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心理カウンセラー・中元日芽香さん(元乃木坂46)によるカウンセリング・エッセイ『なんでも聴くよ。中元日芽香のお悩みカウンセリングルーム』(文藝春秋)より、コラム「人間は完璧ではない― 私が経験した適応障害」を抜粋してご紹介します!
》『「他者の評価を気にしてしまいます」「今の会社でまだ頑張るべき?」中元日芽香がお悩みに回答します!』はこちら
「これくらいの不調はみんなあるよね」と軽く捉えていた
心理カウンセラーを目指したのは、過去に適応障害を経験したのがきっかけでした。診断されたのは2016年の秋頃だったかな。その時の話をしてみます。前作には書いていないことや、あれから時間が経った中で得た気づきなどを書きますね。
私が適応障害を患った原因は、分析したらいくつも思い当たりました。休むのが苦手で、疲れが溜まっていると自覚できなかったこと。仕事での評価=自分の人間的評価と思い込み、仕事で結果が出せていない自分を責めてしまったこと。ストレス過多の前兆として不眠や腹痛が頻発していたのを「これくらいの不調はみんなあるよね」と軽く捉えていたことなど。
適応障害と似た症状として、うつ病が挙げられます。適応障害は「ストレス因から距離を置くと速やかに症状が治まる」と言われています。この定義の通りなら、休業期間を経てまた元気に仕事ができそうですよね。
しかし私は、2カ月ほど休業してみたのですが、かえって悪化していくようでした。「私が休んでいる間も、みんなはライブをしているんだな。怠けているようで申し訳ない」「復帰しても、私のポジションにはすでに誰かがいて居場所がないだろう」「ファンの皆さんを待たせてしまっていて心苦しい」とか、考え始めるともう止められません。ストレス因から距離を置くって、物理的にはできても心理的には無理。うまく休めませんでした。
2023.12.20(水)
文=中元日芽香
写真=榎本麻美
スタイリング=岡安幸代
ヘアメイク=宇藤梨沙