アイドルグループ「SDN48」の元メンバーであり、現在は作家として活動する大木亜希子さん。アイドル卒業後は会社員として働いていたが、ある日突然、駅のホームで一歩も動けなくなってしまう。一時的なパニック状態と診断を受けてメンタルクリニックに通うも、やむなく退職。みかねた8歳上の姉からの提案で、当時56歳の中年男性・ササポンと“共同生活”をすることになった。
その自身の経験を下敷きとする小説『人生に詰んだ元アイドルは、赤の他人のおっさんと住む選択をした』(祥伝社文庫)が大ヒット。本作を原作とする同名タイトルの実写映画(主演・深川麻衣)が11月3日から公開される。
今回は大木さん、シェアハウスを提案した大木さんのお姉さん、元家主のササポンさんの3人に、3LDKの一軒家での日々を振り返っていただく。(全2回の1回目/続きを読む)
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ーー3人でお会いになるのはいつぶりですか?
大木亜希子さん(以下、大木) 私たちは4人姉妹なんですが、双子の姉の奈津子(俳優で家電製品アドバイザー)の結婚式以来ですね。ササポンには家族みんながお世話になっているので、親族席の近くに座ってもらって。
――大木さんは2018年頃にササポンさんとの同居を始められて、3年間一緒に暮らしていたとのことですが、今はすっかりご親戚のような関係に見えます。
大木 シェアハウスはもともと、「ササポンが定年退職するまで」と期限が決まっていました。ササポンはその後、別荘のある軽井沢へ引っ越してしまいましたが、今でも別荘の一角をお借りして原稿を書いたり、折に触れてお会いしています。“元同居人のおじさん”というと一見、不思議な関係に見えるかもしれませんが、人生で一番苦しんでいた時期を知っている方ですし、常にフラットなササポンと一緒にいると、自然体でいられるんですよね。
ーーシェアハウスはご自身もササポンさんの家で暮らした経験のある、大木さんのお姉さんからの紹介だったとのことですが、お姉さんはササポンさんとどのように出会われたのでしょうか。
2023.11.10(金)
取材・構成=加山竜司